掃除に関する日本の風習
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 06:05 UTC 版)
大掃除 徹底的に行う掃除を大掃除(おおそうじ)と言う。現代日本では特に年末に行うものを言う。一年分の汚れを除去し、新たな年に歳神を迎える準備をし、新年を新たな心持ちで始められるようにする意味がある。また、学校行事で学期末などに一斉に行う掃除も大掃除と呼ばれる。 日本の廃棄物の処理及び清掃に関する法律には、第5条第3項に「建物の占有者は、建物内を全般にわたつて清潔にするため、市町村長が定める計画に従い、大掃除を実施しなければならない。」と定められている。同趣旨の条文は、1954年制定の旧清掃法から存在し、1960年代頃までは実際に市町村が地区ごとの大掃除の計画(実施は年末に限らない)を立てることがあった。 掃除用具の多機能化や高機能化により、日頃から多くの場所を掃除できるようになったため、大晦日前の住宅街などでも家族総出の大掃除は少なくなり、大掃除をしない家庭も増えてきた。 煤払い 煤払い(すすはらい)とは古くから続く日本の年中行事のことを指し、いわゆる大掃除のことである。現在でも、神社仏閣においては煤払いと称して歳末の恒例行事となっている。仏像の掃除は「御身拭い」とも呼ばれる。通常の箒や叩きが届かない建物・仏像の高所は、先に笹の葉を付けるなどした長さ数メートルの竹で浄めることが多い。 煤払いは本来、旧暦の12月13日に行われていた。これは徒弟などの奉公人が新年に里帰りできるよう、旅路の時間を考慮して行われていたからである。江戸時代には煤払いを終えると、冬場の重労働後の滋養強壮と長寿祈願を兼ねて「鯨汁(クジラ汁)」が日本各地で食されたことが、数々の川柳や書物、物売りの記録から残されており、その習慣は広く一般に普及していた。 江戸時代(中期以降)の大掃除は、押入れの奥から出てきたり、襖の下張りなどに使われていたのを見つけたりした浮世絵や瓦版を、ついつい読みふけってしまう、といった和やかな一面もあり、商家では、煤払いが終わると誰彼構わず胴上げを行うのが慣わしとなっていた。また、老人や病人、子供など掃除に参加しない者は、掃除を行っていない部屋に退避するか、外出して掃除の邪魔にならないようにしていた。
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