指導体制への課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/21 23:11 UTC 版)
早期英語教育のための研修は、指導主事や地域での研修指導担当者向けに教職員支援機構で行われるものと、各地方自治体の教育センターが実施している。平成20年度には小学校英語活動中核教員への研修は45県で行われ、その平均日数は3.0日であった。また対象者数では5-10%未満である県が20県と最も多かった。また、校内研修を実施している学校は全体の半数以下となっている。ALT等外国語指導助手が中心に指導している学校ほど研修を実施していない割合が高く、ALT任せの状態となっていた。 全国の大学の小学校教員養成課程で外国語を指導する教員養成についての制度的な確立はできていない。小学校での英語教育により中学入学前に英語嫌いとなる懸念もあり、質の高い教員養成が重要であり、大学の教員養成課程における小学校英語教育に関する授業科目の新設、英語科教授法を教える大学教員の十分な確保、それを実施するための予算確保の必要性が言われている。 英語の専任教員を配置していない教育委員会も多く、ALTも全国で約4000人しかいない。文科省が2007年に行った調査では、高学年の英語教育で、指導に当たっている教員のおよそ9割が学級担任だったという。また、全国の小学校教諭で、英語の教員免許を持っているのは、わずか3%程度だった。当時の文科省幹部は「ほとんどの先生は、英語の授業についての経験がない」と指摘している[要出典]。 ALTの活用状況には自治体の財政状況による差が大きく見られ、読売新聞が平成21年度に政令指定都市と東京都へ実施した調査では、1校あたりの年間英語予算額が、港区では586万円であるのに対して、大阪市では12万円と約50倍の差があった。 またALTの雇用の際に自治体が直接雇用する場合と民間業者に委託する場合があるが、直接雇用する場合にJETプログラムを利用する場合がある。以前はJETプログラムを利用した直接雇用が主であった。JETプログラムでは、質的評価は安定しているものの、報酬が高いこと、交代要員の確保を自治体が行う必要が生じるため、民間業者と業務委託契約を結んだり、労働者派遣契約を結ぶことが増えてきた。業務委託契約の場合、学校側が人事管理をする必要が無いメリットもあるが、教師がALTへ直接指示することへの制約、ALTの質的問題、雇用条件、処遇などの問題でALTが次々と辞める事態も起きている。全国で約22,000ある小学校に適当な資格をもったALTを配置することはほとんど不可能だという意見もある。
※この「指導体制への課題」の解説は、「早期英語教育」の解説の一部です。
「指導体制への課題」を含む「早期英語教育」の記事については、「早期英語教育」の概要を参照ください。
- 指導体制への課題のページへのリンク