戦歴/総合的な注釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 03:08 UTC 版)
「メルカバ (戦車)」の記事における「戦歴/総合的な注釈」の解説
全体として、メルカバ計画はイスラエルの国情・軍事的様相・経済的様相の全ての観点から成功を収めたと考えられている。 他の戦車と同様、メルカバも地雷や遠隔制御爆弾に対しては脆弱である。ただし、それらで損傷しても早急に復帰できるようにする意味もあって古典的なホルストマン・サスペンションを元にした、交換しやすいサスペンションが採用されている。パレスチナ・ガザ地区での軍事行動では、パレスチナ側の設置した地雷により2輌のメルカバが行動不能となった。この2輌は回収・修理され、後に作戦行動に戻された。 1990年代以降のヒズボラとの戦闘では、一部のメルカバがイランからヒズボラに供与されたロシア製の9M131 メチスMやRPG-29により破壊されたと一部のメディアが報じており、その対策としてMk 2D/Mk 3Dの増加装甲パッケージが開発されたと言われている。しかし、2006年のヒズボラとの戦闘でも、9M131(AT-13)や9M133(AT-14)などのロシア製最新型対戦車ミサイルにより、投入されたMk 2-4 350-400輌の内、52輌が損傷し、22輌は装甲が貫通され、5輌は再生不能まで大破したと伝えられている。 生存性を重視した設計が謳われているメルカバであるが、その最大の防御は「敵戦車の砲撃そのものを避けるためにその射程外からの正確な遠距離射撃によって先制撃破」するアウトレンジ戦術である。初陣におけるT-72に対する勝利も、地の利を生かした3,000-4,000mという遠距離での射撃による物で、高精度の主砲と射撃管制装置に加え、イスラエル戦車兵とシリア戦車兵との射撃戦における練度の差、イスラエルが他国に先駆けて開発したタングステン合金単体弾頭のAPFSDS弾M-111の貫通力などに負う所が大きい。その後もメルカバの開発・アップグレードにおいて、射撃管制装置の能力向上は重要な要素のひとつとなっており、Mk 3においては、車両コストの実に3割を射撃管制装置関係が占めている。
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