慰安婦問題に影響する付属文書1
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 23:48 UTC 版)
「クマラスワミ報告」の記事における「慰安婦問題に影響する付属文書1」の解説
この附属文書1「戦時における軍事的性奴隷制問題に関する朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国および日本への訪問調査に基づく報告書」は、慰安婦問題について日本政府に法的責任を取ることを求め、特に被害者個人への賠償責任が日本政府にあることを強調している。ただ責任者の刑事責任については日本政府に訴追する義務があるとしながらも、「できる限り行う義務がある」という表現にとどまっている。勧告の最後で「犯行をできるだけ特定し処罰するべきだ」にとどまり具体的な実施方法には触れていない。 この文書の基礎資料となっているものは、第二次世界大戦終了時の米軍による「慰安婦」等への聞き取り調査、ジョージ・ヒックスの書籍、そしてクマラスワミ自身による韓国・日本の政府関係者と「元慰安婦」へのヒアリングである。北朝鮮に関しては北朝鮮関係機関から提供された資料と人権センター代表団の「元慰安婦」への聞き取り調査である。また、当時の証言の一つとして吉田証言についても二行程度の言及をしている。 この内、元慰安婦へ聞き取り調査は、北朝鮮・韓国・日本それぞれの政府や非政府組織から事前に入手した資料に基づき、1995年7月に北朝鮮のピョンヤンで4人(7月15日〜18日)・韓国のソウルで13人(7月18日〜22日)・日本の東京で在日朝鮮人1人と大日本帝国陸軍兵士1人へ行い(7月22日〜27日)、3カ国16人の証言の内いくつかをこの報告書へ要約したとしている。クマラスワミは元慰安婦が共同生活する施設「ナヌムの家」も訪れ、元慰安婦たちの証言を特に重視している。 しかし、クマラスワミ報告には数多い事実誤認や歪曲が指摘されている。歴史家の秦郁彦は東京でクマラスワミと一時間ほど質疑した際に「慰安婦の雇用契約は日本軍でなく民間業者との間でむすばれた」と指摘したことが、同報告書では「秦は慰安婦が日本陸軍と契約を交わした(…)と述べた」と歪曲されて記載され、「まことの心外」として批判している。
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