建設への批評
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 02:05 UTC 版)
イギリスの首相ウィンストン・チャーチルは、巨大で非常に労力を要し、必要な時までに完成しない事業だと見ていた。チャーチルは、海上からビルマ南部を経由してスマトラ島やシンガポール奪還へ進む反攻経路を希望しており、レド公路建設のためにビルマ北部へ戦力を割くことを嫌っていた。中国への援助の必要性には同意していたものの、レド公路が使用できた場合の中国軍の戦力向上はわずかと予想し、また、太平洋方面からの反攻で飛行場が確保できれば中国の日本本土爆撃拠点としての価値も低下すると考えていたからである。 イギリス陸軍第14軍(en)を率いてビルマで戦ったウィリアム・スリム(en)元帥は、回顧録に次のように記している。 この道路を作れるという点については私もスティルウェルと同意見だった。適正な装備とすぐれた指揮があり、彼のレド部隊のように十分な数的優位があれば、中国軍は日本軍をうち破れるはずだと私は考えていた。建設作業については何の疑問もなかった。わが軍は同じくらい困難な場所に、アメリカ軍よりずっと少ない機材で道路を作ってきた実績があった。部下のイギリス軍工兵隊は、最初の80マイル[130km]について経路を調査した結果、十分に自信を持っていた。わが軍にはすでに、中部戦線において同様に粗末な連絡線を保守しているすばらしい労働部隊があった。ここまではスティルウェルと私の意見が完全に一致していたが、私が同意できない点がふたつあった。この道路に戦争に勝つ上で圧倒的な価値があるのかどうか、そしていずれにせよ場所が間違っているのではないかという点である。編成もまだの[新編]中国軍を使ってアジア大陸を進むよりも、太平洋方面で島から島へと跳んでいくアメリカ軍の上陸作戦のほうがずっと早く成果を出すはずだと私は確信していた。またいずれにせよ、この道路が大きな効果を発揮するには、物資を送る鉄道の出発点はカルカッタではなくラングーンにすべきである。 —ウィリアム・スリム
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