建替え・解体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/11 23:12 UTC 版)
詳細は「マンション建替え」を参照 マンションに限らず建物は、経年にともなう劣化、機能的・経済的劣化、被災による損壊などにより、最終的には、建て替え・解体を検討する場合もある。 特にマンションは施工の質や維持管理の状態などにより、「寿命」に大きな差異が生ずることもあり、さらに多数の権利者が関係し、建て替えにあたっては、建て替えに参加しない者の専有部分を取得するなど、その権利者間の調整が重要である。国土交通省は「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」および「マンションの建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」を作成している。これらマニュアルでは、合意形成については、発意から準備段階-検討段階-計画段階を経て建て替え決議をゴールとし、事業実施については、建替組合の設立段階-権利変換段階-工事実施段階を経て再入居・新管理組合設立段階まで盛り込まれている。建て替えか修繕かの判断については、費用対改善効果を把握し、それに基づき総合的に判断するものとされている。「専有部分#売渡請求権」「専有部分#買取請求権」も参照。 各国ではさまざまな法制の整備が進められている。たとえばアメリカ合衆国では、「区分所有関係の解消手続き」を区分所有権の80%以上の賛成により行い、専有部分および共有部分の所有権を組合に帰属させたうえで建て替えを進めることとしているという。 日本では、以下の2つの法律がある。 建て替えそのものの手続きなどを迅速にできるようにした「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」がある。詳細は「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」を参照 区分所有法により、管理組合総会において区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成により建て替えを決議できる。建て替え決議の要件として、以前はさまざまな規定があったが、2003年に大幅に緩和された。さらに、マンションの建替え等の円滑化に関する法律が制定されている。同法では、区分所有法の建て替え決議が成立した場合は、マンション建替組合を設立することができ、組合が建て替え不参加者への区分所有権売渡請求などを行えることとしている。2002年の国土交通省の発表によると、81例すべてが100%の合意で建て替えられている。 人口減少と高齢化が進む状態では、マンション住民の高齢化、死亡により空室が増加し、維持費の調達が困難になった荒廃マンションが増加する。高齢化による荒廃マンションの増加を経験したイギリスは、高層マンションの建設を禁止するとともに、荒廃してスラムとなったマンションを税金で取り壊している。日本は急速な高齢化が進んでいるものの、他国のこういった事例に気づく動きがないことを、藻谷浩介が指摘している。
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