広大な宇宙をはかる
遠ざかる星雲の、光の波長をもとに距離を測定
数千万光年、数億光年と、宇宙は人類の前にさらに奥深く広がっています。星雲の中の変光星を1つの星として分解できないくらいはるかかなたの星雲までの距離はどのようにはかるのでしょうか?宇宙は猛烈(もうれつ)な速度で膨張(ぼうちょう)しています。じつは、その速度による星雲の光の波長の変化(ドップラー効果)により距離を知ることができます。古代から現在まで、人類はさまざまな観測を通して、宇宙を広げていったのです。
近づく音は高く、遠ざかる音は低い波長を示すドップラー効果による距離の測定
ドップラー効果とは、音を出しながら速いスピードで近づいてくると、音の波長が縮まり高い音に聞こえ、逆に遠ざかると低い音に聞こえるという、日常よく経験する現象です。光の場合も同じで、近づくものの波長は縮まり、遠ざかるものの波長はのびる現象が起きます。これによって、宇宙はものすごい勢いで膨張(ぼうちょう)を続けていること、つまり星雲がものすごい勢いで移動していることがわかりました。それも、われわれの銀河系から遠ければ遠いほど、星雲は速い速度で遠ざかっているのです。現在の観測では、秒速15kmで遠ざかっている星雲の距離は100万光年、秒速30万kmで遠ざかっている星雲までの距離は200億光年であるといわれています。
AUは、太陽と地球の1億5,000万kmの距離を用いた天文単位
16世紀にイギリスのブラッドレーは「光行差現象」の精密観測をおこない、当時はかられていた光の速度をもとに、地球の公転速度を秒速30kmと、ほぼ正確にはじきだすと同時に、地球の公転軌道半径(太陽と地球の距離)を1.5×108km(1億5,000万km)と計算しました。この数値は、広大な宇宙をはかる「ものさし」として使用されていますが、天文学においては、しばしば「天文単位(AU)」や「パーセク(PC)」が距離の単位として使用されます。1AUは、太陽と地球の平均距離(地球軌道の半径)である約1億5,000万km。また1PCは、1AUの長さを遠くから見て1秒の角度に見える距離のことです(3.08×1013km、2.06×105AU、3.26光年にそれぞれ等しくなります)。
1光年=1年間にすすむ距離=9兆4,605億km
1天文単位=太陽と地球の平均距離(地球軌道の半径)=約1億5,000万km
1パーセク=年周視差1秒に相当する距離=3.26光年
光行差は、観測者の運動で星の見かけの位置がずれる現象
光行差(こうこうさ)は、観測者の運動によって星の見かけの位置がずれる現象です。たとえば、風のない雨の日に電車に乗っていると、電車が止まっているときは、雨は真上から真下に降りますが、電車が走り出すとしだいに斜め前から降ってくるように見えます。電車の速度が速くなればなるほど、雨の降るかたむきが大きくなり、より前方から降ってくるように見えます。光の場合も同じで、観測者が運動していると、測定している星がその運動の方向にかたむいて見え、位置が変化します。つまり、地球から星を観測した場合、夏至(げし)ごろに観測した星と、冬至(とうじ)ごろに観測した星の位置は、ちょうど正反対に同じ角度だけずれて見えるのです。
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