少尉候補者の拡大
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1937年(昭和12年)2月、陸軍は武官官等表を改正(勅令第11号)し、准士官の呼称を特務曹長から准尉に改めた(砲兵科および工兵科の上等工長は技術准尉に、同じく一等工長は工曹長に改めた)。これにより少尉候補者は准尉、曹長と飛行機操縦術を習得した実役停年2年以上の軍曹の中から選抜され試験によって決定されるようになった。 さらに上記の陸軍武官官等表の改正では経理部をはじめ各部の将校相当官も各部将校と名称が変わり、経理部では「三等主計」が「主計少尉」となるなど階級名も改められた。同年4月改正された陸軍補充令(勅令第112号)により従来の三等主計候補者は経理部少尉候補者となり、ほかに衛生部の三等看護官候補者は衛生部少尉候補者に、獣医部の三等獣医候補者は獣医部少尉候補者に改められ、名実ともに少尉候補者が誕生し選抜された准士官・下士官が指定の学校で教育を受けた。1937年10月時点での少尉候補者は次のとおりである。 各兵科(憲兵科・航空兵科を除く) 現役で38歳未満の各兵科(憲兵科・航空兵科を除く)准尉、曹長より選抜され、東京市牛込区本村町の陸軍予科士官学校で、それぞれ歩兵少尉、騎兵少尉、砲兵少尉、工兵少尉、輜重兵少尉となるため学生として約1年の教育を受ける。 航空兵科 現役で38歳未満の航空兵准尉、航空兵曹長、および飛行機操縦術を習得した実役停年2年以上の航空兵軍曹より選抜され埼玉県入間郡所沢町の陸軍士官学校分校で航空兵少尉となるため学生として約1年の教育を受ける。 砲兵科および工兵科の技術従事者 現役で38歳未満の砲兵科および工兵科の技術准尉、工曹長より選抜され、陸軍工科学校で砲兵少尉または工兵少尉となるため甲種学生として約1年の教育を受ける。 憲兵科 現役で38歳未満の憲兵准尉、憲兵曹長より選抜され、憲兵練習所を改編した陸軍憲兵学校で憲兵少尉となるため乙種学生として約1年の教育を受ける。 経理部 現役で38歳未満の各兵科(憲兵科を除く)准尉、曹長(砲兵科と工兵科の技術准尉、工曹長を除く)、および現役で38歳未満の経理部主計准尉、同主計曹長より選抜され経理部少尉候補者として東京市牛込区河田町の陸軍経理学校で主計少尉となるため丁種学生として約1年の教育を受ける。 衛生部 現役で38歳未満の衛生准尉、衛生曹長より選抜され衛生部少尉候補者として東京市牛込区戸山町の陸軍軍医学校で衛生少尉となるため丙種学生として約1年の教育を受ける。衛生少尉とはかつての三等看護官であり、軍医少尉あるいは薬剤少尉とは異なる。 獣医部 現役で38歳未満の獣医務准尉(それまでの上等蹄鉄工長)、獣医務曹長(同じく一等蹄鉄工長)より選抜され獣医部少尉候補者として東京市世田谷区下代田町の陸軍獣医学校で獣医務少尉となるため丙種学生として約1年の教育を受ける。獣医務少尉は獣医師免許を持つ獣医少尉とは異なる。 1940年(昭和15年)9月、陸軍は新たに技術部を創設し、それまでの砲兵科および工兵科の技術従事者を技術部に吸収した。陸軍武官官等表(勅令第580号)では砲兵および工兵の技術准尉を兵技准尉に、工曹長を兵技曹長に改め、同年同月の陸軍補充令改正(勅令第584号)で砲兵科および工兵科の技術従事者からなる少尉候補者は技術部少尉候補者と改まり、現役で38歳未満の技術部准尉(兵技准尉・航技准尉)と下士官として実役停年4年以上の技術部曹長(兵技曹長・航技曹長)から選抜された者が、神奈川県高座郡大野村の陸軍兵器学校または東京府立川市の陸軍航空技術学校で教育を受けると定められた。
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