将来の利用法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 20:52 UTC 版)
反物質は粒子加速器を使う核融合実験の際に、微量ずつ発生しては、発生の次の瞬間には対消滅で消え去っている事が観測データから確認されているが石油やウランなどと異なり自然には殆ど存在せず、そのため反物質を得るには一から生成する必要がある。 ただし、反物質を生成するのに必要なエネルギーは、反物質を燃料として消費するときに得られるエネルギーよりも大きいため、結局は損をする。これは、水素を燃料として使うために水を電気分解した後、再び燃料電池として電気に戻して消費するサイクルに似ている。ただ、エネルギー密度だけを考えれば非常に高密度であるので遠い将来の宇宙開発のような特殊な用途での利用が想像されている。反物質は物質に触れると爆発的な対消滅を起こすので貯蔵や取り扱いには工夫が必要になる。 反物質は、周囲の物質と対消滅を行うことにより自身の質量の200%をエネルギーに転換できるので、宇宙開発上課題となっている燃料の質量を劇的に軽量化できる。NASAは反物質動力の推進機関に関心を示している。宇宙機のエンジンとして比べれば、核分裂では核燃料の質量のおよそ千分の一、核融合ではおよそ百分の一がエネルギーに転換されるのに対し、反物質を燃料として使えばその大部分がエネルギーに転換される。例えば100kgの深宇宙探査機を50年間加速させるのに必要な反物質燃料は100μgで良い。一方、化学燃料によって得るエネルギーはその質量のおよそ一億分の一相当にすぎず、1グラムの反物質の対消滅によるエネルギーは、スペースシャトルの外部燃料タンク23個分に相当する。 サイエンスフィクション小説などでは、強力な兵器として反物質を登場させる場合がある。実際に地球上で「反物質兵器」を用いるにはあまりに威力が大き過ぎるため、大質量の隕石が地上に落下する可能性が有る際にその隕石を破壊する為に使う等「戦争に使わない強力な兵器」としての利用法なども考えられている。
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