寂寞のエンディングとは? わかりやすく解説

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寂寞のエンディング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 04:28 UTC 版)

三島由紀夫」の記事における「寂寞のエンディング」の解説

遺作の『豊饒の海4巻(『天人五衰』)のエンディングと、三島16歳時に夭折想定して書いた花ざかりの森』の静寂的な末尾酷似していることは、多く論者から指摘されているが、10歳時に書いていたという絵コント入りの「紙上映画」とも言える小品世界驚異』の結末も、それまで華やかな物語全否定してしまうような「火の消えた蝋燭」のエンディングとなっており、寂寞のうちに閉じるという『豊饒の海』の印象的な結末通底するものが看取される。 『世界驚異』は、『マッチ売りの少女』や、ポール・ヴェルレーヌの『秋の歌落葉)』の影響見られ、〈すゝきのゆれるも物悲しきむせびなくヴァイオリン音のやうにかなでゆく秋調べ〉という文章と共に秋の淋しさ表現され前段の頁では、海や船、極楽鳥や花が描かれている。火の消えた蝋燭の頁では、〈やはり、美しい夢はつかめなかつた。あゝ果てゆく幻想。それは春の野にたつ、かげろうにのやうにはかないものだ。らうそくの火はきえて了つた。そして目も前は何もかもまつくらだ〉と記され校正なしの原文ママ)、最後にメトロ・ゴールドウィン・メイヤートレードマークライオン模した絵が描かれ先行作の着想元に独自の世界観作り上げている。 井上隆史は、三島子供の頃から豊かな才能想像力恵まれていたと同時に、その自分作った世界を自らの手壊してしまおうというニヒリズム的な傾向があると考察しているが、三島自身も、〈知的アポロン的)なもの〉と〈感性的〈ディオニソス的〉なもの〉の〈どちらを欠いて理想的な芸術ではない〉として二者総合目指し芸術を〈積木細工〉に喩えつつ、〈積木が完全なバランスを保つところで積木をやめるやうな作家は、私には芸術家ぢやないと思はれる〉として、以下のように語っている。 現在あるところのもの一度破壊させなければよみがへつてこないやうなもの、ちやうどギリシャアドニスの祭のやうに、あらゆる穫入れ儀式アドニスの死から生れてくるやうに、芸術といふものは一度死を通つたよみがへりの形でしか生命把握することができないではないかといふ感じがする。さういふ点では文学古代秘儀のやうなものである収穫の祝には必ず死と破滅にほひがする。しかし死と破滅そのままでは置かれず、必ず春のよみがへりを予感してゐる。 — 三島由紀夫「わが魅せられたるもの」

※この「寂寞のエンディング」の解説は、「三島由紀夫」の解説の一部です。
「寂寞のエンディング」を含む「三島由紀夫」の記事については、「三島由紀夫」の概要を参照ください。

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