家庭における懲戒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 18:29 UTC 版)
俗にお仕置きとも呼ばれることも多い。過去の長いいきさつがあり、改定が行われたのはあくまで最近のことなので、まず、1898年(明治31年)に施行された明治民法から2011年(平成23年)まで、民法第822条にどのように書かれていたか説明する。 (第一項)親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。 (第二項)子を懲戒場に入れる期間は、六箇月以下の範囲内で、家庭裁判所が定める。ただし、この期間は、親権を行う者の請求によって、いつでも短縮することができる。 明治民法の規定は戦後の民法改正においても引き継がれたのであった。 ただし第一項の「懲戒場」に該当する施設が実際には存在しなかったため、1項の後半および第二項は実際は意味が無く機能していなかった。そこで、2011年(平成23年)の改定で懲戒場に関する部分は削除され、次のようになった。 親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる(民法第822条)。 つまり、親権者は、子を監護し教育するために、子に不適切な行動などがあれば、懲戒(不適切な行動を改めさせる目的で、身体や精神に苦痛を加えること)を行うができる。懲戒を行うかどうかの決定やその内容は事実上、親権者の裁量に委ねられている。 昔から行われていたことは、例えば幼児の場合、幼児が(子供自身や周囲の人に)危険が及ぶような行為などをし、親がそのような行為を「してはいけない」などと何度か注意してもその行動が改まらない時などに、教育(躾け)目的で、しかたなく尻を(それなりに手加減して)平手で打ち、身体の感覚でもって、その行為の深刻さを感じさせ、行動を改めさせる、といったことである。昔このような事が普通に行われていたのは戦前の軍国主義教育の影響が大きいとされている。懲戒はしばしば「せっかん」などと言われていた。 ただし、懲戒は子の利益(820条)のため、また教育の目的を達成するためのものである、とされているので、その目的のために必要な範囲内でのみ認められる。この範囲を逸脱してまで過度の懲戒を加えると「懲戒権の濫用」と見なされる場合があり、特に暴力や大声で怒鳴りつけることは傷害罪・暴行罪等の犯罪を構成している、と見なされたり、児童虐待と見なされる可能性もある。
※この「家庭における懲戒」の解説は、「懲戒処分」の解説の一部です。
「家庭における懲戒」を含む「懲戒処分」の記事については、「懲戒処分」の概要を参照ください。
- 家庭における懲戒のページへのリンク