家内労働手帳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 07:35 UTC 版)
委託者は、委託をするにあたっては、家内労働者に対し、委託に係る物品を提供するときまでに家内労働手帳を交付しなければならない(第3条1項、施行規則第1条1項)。家内労働者は、委託者が家内労働手帳に記入した事項を確認しなければならない(施行規則第1条6項)。家内労働者は、委託者が家内労働手帳に最後の記入をした日から2年間当該家内労働手帳を保存しなければならない(施行規則第1条7項)。 家内労働手帳は、家内労働者の権利を保護し、不明確な委託関係から生じる当事者間の争いを防止するため、委託条件を文書で明確にさせようとするものであること。また家内労働手帳は委託者が家内労働者に交付し、および記入しなければならないものであること。なお、家内労働手帳の交付は、最初に物品を提供するときまでに行なわなければならないものであること。他方、家内労働者においても、記入された事項に誤りがないか確認するとともに家内労働手帳を委託者が最後の記入をした日から2年間保存しなければならないものとしたこと(昭和45年10月1日発基第115号)。 家内労働手帳は、原則として様式第一号により作成するものとするが、必要な事項が記載されており、家内労働手帳制度の趣旨にかなうものである限りは、伝票形式など別の様式によってもさしつかえないものであること(様式の任意性、施行規則第1条8項、施行規則第30条、昭和45年10月1日発基第115号)。厚生労働省でもモデル様式として伝票形式の家内労働手帳の普及を図っている。 資本金または出資額が1000万円をこえる法人たる事業者から製造委託または修理委託を受ける家内労働者は、親事業者との取引関係において下請事業者の利益を保護することを目的とする下請代金支払遅延等防止法でいう下請事業者に該当するので、本法による家内労働手帳の交付義務と下請法による親事業者の書面の交付義務が競合して委託者の負担が過重となることをさけるため、下請法の書面に記載すべき事項は、すべて家内労働手帳の記入事項とし、家内労働手帳が交付された場合には下請法の書面の交付もあったものと取り扱うことができるようにしたものであること(昭和45年10月1日発基第115号)。 委託者は、以下の事項を家内労働手帳に記入しなければならない(第3条2項、施行規則第1条2項)。 委託をするつど、その年月日、納入させる物品の数量及び納品の時期 製造又は加工等に係る物品を受領するつどその年月日 工賃を支払うつどその年月日 委託者は、委託をするにあたっては、家内労働手帳に次の事項を記入しなければならない(施行規則第1条3項)。委託者は、これらの事項に変更があった場合には、そのつど、変更があった事項を家内労働手帳に記入しなければならない(施行規則第1条4項)。 家内労働者の氏名、性別及び生年月日並びに当該家内労働者に補助者がある場合にはその氏名、性別及び生年月日 委託者の氏名、営業所の名称及び所在地並びに委託者が当該家内労働者に係る委託について代理人を置く場合にはその氏名及び住所 工賃の支払場所、毎月一定期日を工賃締切日として定める場合にはその定め及び通貨以外のもので工賃を支払う場合にはその方法 物品の受渡し場所 不良品の取扱いに関する定めをする場合にはその定め
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