宮城県長沼漕艇場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/22 07:33 UTC 版)
長沼ダムは計画当初は洪水調節と不特定利水を目的とした治水ダムであったが、1992年(平成4年)より補助多目的ダムとして事業が拡大された。その目的はレクリェーション目的であり、日本においては兵庫県の石井ダム(石井川・神戸市)・武庫川ダム(武庫川・宝塚市)と長沼ダムの三ダムしか有しない。具体的な目的はボート競技を行うための水位確保である。 長沼はかねてよりボート競技の適地として利用されていたが、1990年(平成2年)に宮城県長沼漕艇場として整備され、同年8月には宮城県で行われたインターハイにおいてボート競技の会場となった。この時に優良な競技場として高く評価され、宮城県教育庁は長沼のボートコースを本格的に整備すべく従来全長1,000メートルであったボートコースを国際A級コースの基準である全長2,000メートルに倍増させ、これを8本整備する計画を立てた。ところがこの計画を実行するにあたり最大の問題となったのが長沼の水位であった。ボート競技が盛んに行われるのは夏季であるが、この時期は農業用水の需要が最も多い時期でもあり長沼の水位は最も低下する。このため十分な水位が確保できず、ボート競技に影響を及ぼす懸念があった。同時期、ダムを施工していた宮城県土木部は迫川の洪水流入によって長沼の堆砂が進行することへの対策を検討しており、長沼の湖底を浚渫(しゅんせつ)して水深を深くすることで十分な堆砂容量を確保しようとした。 この長沼の浚渫がボート競技での水位確保にも有用であることから、1992年より宮城県土木部と宮城県教育庁の共同事業として長沼の浚渫工事がダム関連事業として着手され、同時に宮城県営長沼漕艇場ボートコース整備のためボート競技に必要な水位確保が正式に長沼ダム建設事業の目的に加えられ、多目的ダムとして事業が拡大された。浚渫事業は1996年(平成8年)に完了しており、ダム完成後は国際競技大会が可能な国内有数のボートコースとして長沼は利用されることになる。 1999年(平成11年)10月には、翌年のシドニーオリンピックのアジア予選を兼ねた第8回アジアボート選手権が開催された。
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