宣誓・証言拒否事由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:08 UTC 版)
証人において次の場合には、宣誓や証言を拒むことができる(議院証言法第4条)。 以下に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのあるとき(議院証言法第4条第1項)。これは、自己負罪拒否特権・証言拒絶権(日本国憲法第38条)の観点から認められる。 証人自身 証人の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は証人とこれらの親族関係があった者 証人の後見人、後見監督人又は保佐人 証人を後見人、後見監督人又は保佐人とする者 証人が以下の職にある場合、又はこれらの職にあった場合は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものであるとき。ただし、本人が承諾した場合は拒否できない(議院証言法第4条第2項)。これは刑法ほか、各種法令上の守秘義務の観点から認められる。 医師 歯科医師 薬剤師 助産師 看護師 弁護士(外国法事務弁護士を含む) 弁理士 公証人 宗教の職にある者または宗教の職にあった者 なお、証人は以上の事由により宣誓や証言を拒むときは、その事由を示さなければならない(議院証言法第4条第3項)。正当の理由なく証人が出頭・宣誓・証言を拒否したものと認められるときは、証人喚問を行った委員会等は議院証言法第8条の規定により告発を行う(議院証言法第8条第1項。後述の「偽証等の告発」も参照)。 宣誓や証言の拒絶の当否については、基本的には委員会が決定する(院の自律権に属する事項と考えられている)。最高裁も「議院における偽証罪等の告発について特に同法第八条本文及び但書のごとき特別の規定を設けた趣旨に徴すれば議院内部の事は、議院の自治問題として取扱い同罪については同条所定の告発を起訴条件としたものと解するを相当とする」と判示する(昭和24年6月1日最高裁大法廷判決)。 日本国憲法第51条では国会議員の演説は院外での免責特権が規定されているが、1976年(昭和51年)9月8日の衆議院ロッキード問題に関する調査特別委員会における衆議院法制局長答弁では「国会議員が議院証言法上の証人として行った証言には憲法51条の免責は働かない」とされており、実際に裁判所も現職国会議員の証人喚問に関して偽証罪が適用されている。
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