宣誓の誤り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 22:01 UTC 版)
「アメリカ合衆国大統領就任宣誓」の記事における「宣誓の誤り」の解説
1909年、ウィリアム・タフト大統領が宣誓した際、メルヴィル・フラー(英語版)最高裁判事は宣誓文を誤って読み上げたが、当時はその誤りは公表されなかった。その20年後の1929年のハーバート・フーヴァーの就任宣誓(後述)の際、最高裁長官となっていたタフトは同様の誤りを犯した。後にタフトは、「私がフラー最高裁長官に対して大統領就任宣誓をしたとき、彼は同じようなミスを犯した。しかし、無線機がなかった当時、それが分かったのは私が宣誓した上院議場にいた者だけだった」と書いている。 1929年のハーバート・フーヴァー大統領の就任宣誓において、ウィリアム・タフト最高裁長官は、"preserve, maintain, and defend the constitution"(合衆国憲法を維持、保護、擁護すること)と言うべき所を"preserve, protect, and defend"と言ってしまった。後に、タフトは誤りを認めたが、フーヴァーは、それは重大な誤りではないとして宣誓のやり直しをしなかった。 1945年に大統領に就任したハリー・S・トルーマンのミドルネームは単に"S"のみであり、これは何かの略ではない。しかし、ホワイトハウスの閣議室で行われた大統領就任宣誓において、ハーラン・ストーン最高裁長官は、トルーマンのフルネームを誤って「私、ハリー・シップ・トルーマンは……」(I, Harry Shipp Truman, ...)と宣誓文を読み上げてしまった。トルーマンはそのまま復唱せず、「私、ハリー・S・トルーマンは……」(I, Harry S Truman, ...)と宣誓文を始めた。 1953年のドワイト・D・アイゼンハワーの1回目の就任式で、フレデリック・ヴィンソン最高裁長官が正しく読み上げたにもかかわらず、アイゼンハワーは"the office of the President of the United States"いう部分を"the office of the President of the United States"と、憲法の原文にはない"the"を入れて読んだ。1957年の2期目の就任式でも、アール・ウォーレン最高裁長官は正しく読んだが、アイゼンハワーは4年前と同じ間違いをした。 1965年のリンドン・ジョンソンの2期目の就任式で、アール・ウォーレン最高裁長官は、"the Office of the Presidency of the United States"と誤って読み上げた。 1973年のリチャード・ニクソンの2期目の就任式で、ニクソンは"preserve and protect, and defend"と"and"を1つ余計に読み上げた。最初の就任式では、ニクソンは間違えなかった。 2009年のバラク・オバマの就任式で、ジョン・ロバーツ最高裁長官は"That I will execute the Office of President to the United States faithfully"と誤って読み上げた。オバマは"execute"まで復唱した所で止め、ロバーツが訂正するのを待った。ロバーツは、オバマの"execute"に続いて"faithfully"と言ったため、"execute faithfully"となり、これも間違っていた。その後、オバマは、ロバーツが最初に言った通りに、"United States"の後に"faithfully"と言った。翌日、ホワイトハウス内でロバーツの立ち会いにより宣誓をやり直した。
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