実現への期待
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/04 00:37 UTC 版)
カレンバックが描いた世界の中におけるテレビの役割に関する考察は、特筆に値する。著者は、壁掛けテレビの直接的な政治プロセスの放送のチャンネルを、市民にとって有益と見て支持した。ある意味で1979年に実現したC-SPAN(米国の非営利ケーブルテレビ局。議会中継などを放送)を予見し、本書は日々の立法や司法裁判がテレビ放映される姿に言及している。高度に専門的な議論でさえ、エコトピアの視聴者にニーズや要求を反映してテレビ放映されていた。 本書に登場するもう一つの興味深い品目は、「オンデマンド印刷(POD)」だ。エコトピアの消費者はジュークボックスみたいな装置からお気に入りの(印刷製本する)印刷媒体を選ぶことが出来た。21世紀になって、オンラインで注文した顧客のために印刷・製本・発送する「オンデマンド印刷(POD)」サービスが実現した。 カレンバックがエコトピアで描いた持続可能な都市や建築のイメージは、徐々に具現化されつつある。その姿や、これからの都市の青写真をリチャード・レジスターは『エコシティ—バークレーの生態都市計画』(邦訳、工作舎1993年)で示している。同書はカレンバックの助言や著者との議論を経て生まれた本だ。生物学や生態学の知恵を都市づくりに活かした「エコシティ」と呼ばれる都市計画の原理と実践法を提示している。この運動は今や国境を超え、世界に徐々に浸透しつつある。過去50年、100年の間に多くの獣や鳥、魚、植物が姿を消し、小川は下水溝に化け、都市の面積の多くが道路と駐車場に奪われ、都市はかつてのような憩いの場ではなくなってしまった。多くの問題を解決しながら、100年、200年かけて都市に自然を取り戻し、エコトピアに近い世界の実現に向けた旅が始まった。レジスターは同書の謝辞の中で、そのようなカレンバックの思いに対して心からの感謝を述べている。
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