宗教・思想界の新動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/09 23:42 UTC 版)
仏教界では、国家的事業として東大寺をはじめ南都(奈良)の諸寺の再建がなされるいっぽう、12世紀中ごろから13世紀にかけて、新興の武士や農民たちの求めに応じて日本仏教の新しい宗派である、浄土宗、浄土真宗、時宗、日蓮宗、臨済宗、曹洞宗が生まれた。いずれも始祖は天台宗に学んだ経験をもつ。前4者は旧仏教のなかから生まれ、後2者は中国から新たに輸入されたものである。朱子学(宋学)をもたらしたのも禅僧であった。この鎌倉新仏教6宗は教説も成立の事情も異なるが、旧仏教の要求するようなきびしい戒律や学問、寄進を必要とせず、ただ信仰によって在家(在俗生活)のままで救いにあずかることができると説く点で一致していた。これに対し、旧仏教側も奈良時代に鑑真が日本に伝えた戒律の復興に尽力するいっぽう、社会事業に貢献するなど多方面での刷新運動を展開した。そして、新仏教のみならず旧仏教においても重要な役割を担ったのが、官僧(天皇から得度を許され、国立戒壇において授戒をうけた仏僧)の制約から解き放たれた遁世僧(官僧の世界から離脱して仏道修行に努める仏僧)の存在であった。各地に石仏、また東国を中心に鉄仏彫刻があらわれ、身近な信仰塔としては五輪塔や板碑が建てられた。さらに、古来の神道信仰においても、教理の面で新展開がみられた。
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