安全保障のリスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 22:41 UTC 版)
脱原発派からは、原発をテロ攻撃から守ることは不可能ということがしばしば指摘される。とりわけ9.11アメリカ同時多発テロ事件のテロ攻撃のように、テロリストが飛行機を強奪し、原発に突っ込むことによって、核攻撃と同等の被害が出かねないということが認知されるようになった。例えば2007年11月にドイツのエコ研究所が提出した調査結果では、ドイツ南ヘッセンのビブリスにあるビブリス原発A (Biblis A) にテロリストがハイジャックした飛行機等が突っ込んだ場合、放射能が流出することで、最大1万平方キロメートル圏内の住民の移住が避けられない事態となり、その圏内にはドイツのベルリンだけでなく、フランスの首都パリやチェコの首都プラハも含まれるという。 ジャーナリストの熊谷徹によると、9.11アメリカ同時多発テロ事件後、ドイツの原発は航空機による自爆テロ攻撃に備えて煙幕発生装置を設置した。煙幕を発生させることで、テロリストが原子炉建屋に航空機を激突させにくくするためである。しかしテロリストがGPSに原子炉の北緯や東経を入力し、それに基づいて航空機を操縦していたら、煙幕には何の意味もなく、航空機による原発への自爆テロ攻撃を100%防ぐことは結局不可能と熊谷は指摘している。最終的に2011年5月14日にドイツの原子炉安全委員会 (Reaktor-Sicherheitskommission、RSK) がドイツ政府に提出した原発ストレステストの鑑定書では、「大型の旅客機の墜落について最低限の耐久性を持つ原子炉は一つもなかった」と結論付けられた また、原発用の燃料及びその原料である核物質や、原発から排出される核廃棄物などを、一部の国家やテロリストなどが不法に入手し、核兵器や汚い爆弾などといった、軍事やテロ目的に転用される恐れもある。
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