嫌疑なき「共犯者」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 14:37 UTC 版)
「日本ボクシングコミッション事件」の記事における「嫌疑なき「共犯者」」の解説
D1は、新団体を画策するメンバーが勧誘したがっているという情報の下で騒動に巻き込まれた選手である。『週刊朝日』2012年8月17–24日合併号は、20代前半でWBA・WBCの世界王座を獲得し、その後、WBO・IBFの4団体制覇を狙って主戦場を国外に移していたD1が、JBCから「『新団体設立を企てた』などと、クーデターの汚名を着せられ」、JBCを近く名誉毀損で提訴する構えであると伝えた。記事中の写真キャプションには「JBCの“ミスジャッジ”ぶりは五輪の比じゃない」とある。JBCは2012年4月から6月にかけて4名の職員を懲戒解雇もしくは通常解雇したが、解雇通知書に理由として共通に挙げられていたのが「別の団体を設立しようとした」ことであり、その「共犯者」としてD1の実名が記されていた。D1の関係者はJBCに抗議し調査を求めたが謝罪はなく、JBCからは「2011年10月23日、米国のIBF本部で[D1]が(IBFの)会長らに新団体設立の働きかけをした」という内容の回答書が送付された。D1はその時期、日本で練習をしており、関係者は「英語も話せない一介の選手がIBF会長に直談判できるはずない」と発言している。同誌はD1のパスポートを確認した上で、その時期には国外へ渡航した形跡がないことから「JBCの主張は無理がある」と判断。JBCに取材を申し込んだが、担当者は「訴訟の可能性があるということなら、コメントは控えたい」と話すのみであったため、誌面にはD1と「共謀関係」とされた安河内から書面で得られた「[D1]選手とはここ数年、会ったこともありません。JBCは虚偽の事実によって、私以外にも職員3人の未来を奪いました。全員がすでに訴訟を提起、ないし準備中です。こうした事態を招いたトップの責任は、免れ得ません。」とのコメントを掲載している。 D1はJBCがIBFに加盟する2日前にメキシコで同団体の世界王座を獲得したが、これについて『ボクシング・マガジン』2013年5月号は次のような見解を示している。 きちんと根回しして引退届を出し、その上でWBOタイトルに挑んだ石田順裕[略]と[D1]のケースは異なる。[D1]側は独自のルートを開拓し、日本のボクシング界とはまったくの別路線で、今回のタイトル獲得にまでつなげたのだ。つまり日本から一時的に完全に離脱しているのである。その間には日本未公認のままIBFタイトルに2度も挑戦している。わかりやすさを求めるのなら、一刻も早い[D1]のタイトル獲得の承認ということにもなるのだろうが、日本国内のルールを遵守して、あえて遠回りを選んだ選手がいるとしたら、事情は十分に議論されなければならない。 — 宮崎正博、「JBCがIBF承認加盟を発表」 ※引退届を提出した上で日本国外においてJBCが認可していない世界王座に挑戦したことについては、D1も石田と同じである。
※この「嫌疑なき「共犯者」」の解説は、「日本ボクシングコミッション事件」の解説の一部です。
「嫌疑なき「共犯者」」を含む「日本ボクシングコミッション事件」の記事については、「日本ボクシングコミッション事件」の概要を参照ください。
- 嫌疑なき「共犯者」のページへのリンク