女流棋士と棋士(奨励会)
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「女流棋士 (将棋)」の記事における「女流棋士と棋士(奨励会)」の解説
将棋の棋士の制度に男女の区別はなく、新進棋士奨励会が1928年(昭和3年)に創設されて以来「奨励会に入会し、昇級昇段規定を満たして四段に昇段すること」が棋士となる要件である。そのために1974年の女流棋士制度の発足以降も女流棋士は奨励会に重複して在籍可能で、そのために女流棋士でありながら棋士になるために、林葉直子、中井広恵、矢内理絵子、碓井涼子などが奨励会に重籍していた。しかしその事に奨励会員からの不満の声もあり、1998年に女流棋士総則が改正され、「奨励会員と女流棋士の重複は認めない」とされ、奨励会に籍を置く際には女流棋士を休会しなければならなくなった。 2011年に里見香奈女流三冠が奨励会への挑戦を表明した。これを踏まえて将棋連盟理事会は、「女流棋士が奨励会試験を受験し入会することは自由である」として女流棋士と奨励会員の重複を再度認めるようになった。里見は2011年5月に1級で編入試験に合格すると、2012年1月初段、2013年7月二段、同年12月三段に昇段した。その後、奨励会三段リーグでは3期の休場を挟んで計5期出場したが、四段昇段を果たせず年齢制限により退会した。 2021年時点で棋士になった女性はいないものの、上記の里見が奨励会退会後にプロ公式戦の女流参加枠で棋士編入試験受験資格獲得に迫る成績を挙げていた事と、奨励会員の西山朋佳が三段リーグ在籍中で顕著な成績を上げていた事を踏まえて、いずれかが四段昇段を果たした場合の明確な対処基準を設定することが求められていたため、2019年8月7日、日本将棋連盟は「女流棋士、女性奨励会員の棋戦参加について」で、 「1) 女流棋士がプロ棋士編入試験に合格した場合、女流棋戦、及びプロ棋士公式棋戦の両方に出場することが出来る」 「2) 「奨励会に所属している女性が四段に昇段をした場合、女流棋士申請を行うことが出来る。ただし、申請期間は昇段日から2週間以内とする」 として女流棋士と棋士を並行して活動できることとした。 女流棋士から奨励会を経ずに棋士になるには、女流棋戦で優秀な成績を挙げて棋士棋戦に出場し、以下の条件のいずれかを満たして棋士編入試験の受験資格を得、新四段5人を試験官とする5局の対局で3勝を上げる必要がある。 棋士棋戦での通算成績が最も良いところから見て10勝以上、かつその間の勝率が6割5分以上の成績を収めること 以下の各棋戦のいずれか1つにおいて所定の成績を収めること竜王戦:ランキング戦優勝 王位戦:挑戦者決定リーグ入り 王座戦:挑戦者決定トーナメントベスト8 棋王戦:挑戦者決定トーナメントベスト8 棋聖戦:決勝トーナメントベスト8 朝日杯将棋オープン戦:本戦トーナメントベスト4 銀河戦:決勝トーナメントベスト4 NHK杯テレビ将棋トーナメント:本戦トーナメントベスト4 新人王戦:優勝
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