夫婦同氏の規定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 23:52 UTC 版)
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する(750条)。婚姻後に夫婦が称する氏については、届書に記載して届け出なければならない(戸籍法74条1号)。偶然にも同一の氏である場合にも同様である(769条の場合に法的な意味を有することになる)。当事者の婚姻前の氏とは関係のない第三者の氏とすることは許されない。なお、明治民法が制定されるまでの初期の明治時代では1876年(明治9年)3月の太政官指令により、妻は生家の姓「所生ノ氏」(実家の氏)を用いること(夫婦別氏)とされていた(明治9年3月17日太政官指令15号。しかしながら、上記の指令にもかかわらず、妻が夫の姓(氏)を称することが慣習化していったといわれている。 夫婦の氏につき「民法の一部を改正する法律案要綱」(平成8年2月26日法制審議会総会決定)では、夫婦は婚姻の際に定めるところに従い夫もしくは妻の氏を称しまたは各自の婚姻前の氏を称するものとし、夫婦が各自婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとしており、選択的夫婦別姓制度の導入、導入する場合の子の氏等についての議論がなされている。2015年(平成27年)12月16日最高裁大法廷判決は、婚姻に際し夫婦同氏のみを認める民法750条の規定について憲法13条、14条1項、24条に違反しないと判示している。 なお、日本の戸籍実務においては日本人が外国人と結婚する場合については夫婦同氏の規定の適用はないとしている(昭和20年4月30日民事甲899号回答、昭和42年3月27日民事甲365号回答)。この点に関して戸籍法は外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から6か月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができるとしている(戸籍法第107条第2項)。
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