天候・地形問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 16:06 UTC 版)
新幹線は、東海道新幹線の関ヶ原付近で雪の影響を強く受けた経験から、後に積雪地帯に建設された区間では排雪や消雪に対応した軌道設備、車両構造を開発して解決した。中央新幹線は山間部に建設されるため、リニア方式での積雪対策技術が開発されている。国鉄時代には、北海道千歳地区にリニア軌道を模した高架構造物を設置して、軌道の隙間から雪が落ちる構造が試験された。また、山梨実験線では積雪時の走行や除雪、設備の耐久性なども研究対象になっており、中央新幹線に向けて技術実証を続けている。 また、赤石山脈(南アルプス)など多くの山を通過するため地形問題のクリアも課題となっている。赤石山脈付近のルートの案は、長野県の木曽谷を南下する「木曽谷ルート」、同県の伊那谷を通る「伊那谷ルート」、赤石山脈を貫通する「南アルプスルート」の3つがあり(検討されていたルートを参照)、2008年時点には伊那谷ルートと南アルプスルートのいずれかにほぼ絞り込まれている。長野県や諏訪地域、上伊那地域の自治体などは伊那谷ルートを支持しているが、JR東海は最短距離で建設できる南アルプスルートを考えており、糸魚川静岡構造線の大断層帯を長大トンネルで貫通することになるため、地質調査を行い、2008年10月に適切な施工法を選択すれば建設可能との調査結果をまとめた。 なお、2008年10月3日、同月4日付の『中日新聞』によるとCルート(南アルプスルート)が有力となっており、同月7日の『朝日新聞』によれば、JR東海は南アルプスルートで建設する方針を固め、2008年12月26日にはJR東海の葛西敬之会長が都内で会見を行って「実現可能なのは直線ルートだけ」と強調した。 2020年11月1日の報道によると、JR東海が「(中央新幹線建設)工事に伴って大井川中・下流域の水資源の利用に影響を及ぼさないようにする」と主張してきた事に対して、静岡県はゼロリスクに否定的で、JR東海に対して工事によるリスクゼロが不可能なことを前提とし、環境への影響を回避・低減するように求めていると伝えている。
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