天候オプション取引
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/06 19:13 UTC 版)
「天候デリバティブ」の記事における「天候オプション取引」の解説
天候オプション取引は、気象現象である気温、湿度、降雨量、降雪量、霜、風速、台風などを基準として条件(ストライク値)を定め、条件を上回れば(または下回れば)自動的に補償額が支払われる権利(オプション)を取引するものである。購入者はオプション料(一般的な保険の掛金とは異なる)を支払いオプションを購入し、気象の結果によって補償金が支払われる。主に、収益が天候に左右される事業のリスク・ヘッジに用いられる。 例としては、気温が低いと需要が減る(または気温が高いと需要が増える)ような産業と、逆に需要が増える(または気温が高いと需要が減る)ような産業の異なるリスクを、ストライク値によって互いに補償し合う約束(契約)をする。それにより、自分の事業が天候によって受けた場合の損失を補填することが出来る。損害保険とは異なるため、実際の損害発生の有無は問われない。 オプション購入者(加入者)同士が直接取引する場合もあるが、対象を拡大し、需要が増えそうな企業の株式に投資したり、範囲を世界規模にするなど、狭い地域内におけるリスクの分散と回避が出来るよう手法が組み合わされた商品となっている場合もある。個別の事業者の事情に適合できるような商品開発も行われている。 2007年の日本国内の市場規模(補償額ベース)は約700億円となっている。補償金額は数千万円規模のものが多く、現在は中小企業を対象とした小口契約のものも増加しており、最低オプション料が30万円程度のものもある。損害保険会社や銀行が取り扱うものが一般的だが、電力会社とガス会社は直接に契約を結ぶ例が多い。 天候オプション取引の仕組み(気温リスクを単純化した例) 事業の性質補償条件(権利)結果(天候と補償等)寒かった場合暑かった場合事業損益補償事業損益補償寒いと損失を受ける事業 寒い場合 損失 あり 利益 なし(オプション料を失う) 暑いと損失を受ける事業 暑い場合 利益 なし(オプション料を失う) 損失 あり 補償は損害の有無は問わないが、事業損失が補填できる(実際は損害額と補償金との間に差が生じる場合が多い)。
※この「天候オプション取引」の解説は、「天候デリバティブ」の解説の一部です。
「天候オプション取引」を含む「天候デリバティブ」の記事については、「天候デリバティブ」の概要を参照ください。
- 天候オプション取引のページへのリンク