基本設計の変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:39 UTC 版)
「扶桑」型戦艦の設計にあたりさまざまな案が検討されたが、最終的には排水量30,600トン、速力22.5ノットとしてまとめられた。35種に上ったとされる扶桑型の設計案の内計画番号A47〜A57、最終案であるA64が平賀文書に残っており、この中では扶桑型は概ね速力22〜23kt、排水量30,000t前後、防御は水線主甲帯305mm、バーベット部228mmの艦として設計されていた。 主砲についてはかなりの変遷が見られ、A47では主砲は45口径14インチ砲連装6基12門とはなっていたものの、その砲塔配置は中心線上の艦首側に2基、船尾側に2基とされ、残りの2基は艦中央部付近に梯形配置にするとされており、弩級戦艦と然程変わらない砲塔配置となっていた。この砲塔配置は砲サイズが異なるA48〜A49にも共通する砲塔配置であったが、A50より主砲塔を全て中心線上に配置する型式が採用され、以降の案では中心線上に主砲を配置する形式が採用される事となった。また、A47でも見られた主砲を12インチ砲とする案はA50以降にも見られ、A51では12インチ三連装2基・連装3基計12門を搭載するとされており、艦首・船尾最前部砲塔が三連装とされ残りの連装砲は中央部に1基三連装後方にそれぞれ1基ずつ搭載するとされていた。A54では三連装砲を中心線上の艦首・船尾側にそれぞれ背負い式で2基、艦中央部にも三連装を1基搭載し合計15門の艦とする事が計画されていた。しかし、最終案であるA64では扶桑型の主砲は各国の弩級戦艦の多くが採用していた12インチ砲では無く金剛型同様に14インチ砲が採用されており、これを連装砲として6基12門を搭載する超弩級戦艦として竣工する事となった。 また、防御に関しても152mm〜178mmとされた水線上部は203mmへと変更され、228mmとなっていたバーベット部も山城起工前の1913年(大正2年)6月の時点では241mmに変更され、最終的には305mmへと強化されており水平防御に関してもHT鋼のみを使用する予定となっていた点が改められ中甲板にはNi鋼が使用される事となった。最終案であったA64から実際に扶桑型が竣工するまでの間にも幾つかの変更が加えられた結果扶桑型は初期の設計案と比べるとその防御は強化される事となり、主砲にも12インチ砲では無く14インチ砲が採用された事で火力も従来の弩級戦艦と比べると大幅に向上する事となった。 扶桑級基本計画の変遷項目A47A48A49A50A51A52A53A64(最終案)垂線間長187m 182m 173m 176m 172m 182m 192m 最大幅28.9m 28.6m 28.3m 28.6m 28m 28.8m 28.6m 喫水9.1m 8.9m 8.8m 8.8m 9.1m 8.6m 排水量30,000t 28,000t 27,100t 27,000t 27,200t 26,000t 29,000t 30,600t 22kt時軸馬力38,500 37,000 36,200 35,000 34,300 33,200 38,000 38,000 23kt時軸馬力46,000 44,200 43,500 43,350 41,550 40,000 45,320 無し 主砲塔14インチ連装6基12門 12インチ連装6基12門 14インチ連装5基10門 12インチ三連装4基12門 12インチ連装3基6門12インチ三連装2基6門 12インチ三連装5基15門 14インチ連装6基12門 水線部甲帯229mm-300mm-229mm 不明 229mm-300mm-229mm 中甲板側面甲帯150mm-177mm-150mm 100mm-200mm-100mm 上甲板側面甲帯150mm 150mm 主装甲甲板28mm 37mm~50mm 最上甲板25mm 31mm バーベット229mm 300mm ※12インチ砲は50口径、14インチ砲は45口径
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