執筆活動 - フロリダ12年、再びケベック
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「ダニー・ラフェリエール」の記事における「執筆活動 - フロリダ12年、再びケベック」の解説
1990年に執筆活動に専念するために、家族とともにフロリダ州マイアミに移住し、同州ケンドール (フロリダ州)(英語版)に居を構えた。以後12年間に約10作の自伝小説を発表した。これらは主に故郷ハイチを舞台とした小説やケベック亡命後の苦しい生活を描いた小説で、ラフェリエールはこれら一連の作品を「アメリカの自伝」と呼んでいる。「アメリカの自伝」の最後の作品でガスネル・レイモンに捧げた『狂った鳥の叫び』を書き終えた後、2002年にフロリダからモントリオールに戻った。これ以後は、新たな著書に取り組むより、むしろ「自作再訪」として、これまでに出版された著書を何度も読み直して加筆し、新版を発表し続けた。この結果、「アメリカの自伝」は、独裁政権下のハイチを描いた作品を別として、北米の都市を舞台とする作品群とハイチの田舎プチ=ゴアーヴを舞台とする作品群とに大別される。 2009年に発表した『帰還の謎』は、同年、メディシス賞を受賞した。圧政を逃れた亡命作家が父の死の知らせを受け、ニューヨークで父の埋葬に立ち合い、33年ぶりにハイチに帰還するという設定で、再びよみがえった独裁政権に対する怒り、憤りを表現し、ハイチ社会を批判する自伝的な小説である。 翌2010年1月12日、ハイチでマグニチュード7.0の大規模な地震が発生した(ハイチ地震)。死者は30万人を超えるとも言われる。このとき、ラフェリエールはたまたまハイチを訪れていて、大混乱に巻き込まれ、この一部始終を「黒い手帳」に記し、同年、客観的な報道とは異なる、住民の苦痛、焦燥、不安、恐怖を描いた『ハイチ震災日記 ― 私のまわりのすべてが揺れる』を発表した。 2013年12月12日、アカデミー・フランセーズ会員に選出された。数百年に及ぶアカデミー・フランセーズの会員733人のうち、フランス国籍を持たない会員はアメリカ合衆国国籍のジュリアン・グリーンに次いで2人目である。会員が受ける個別仕様の佩剣(はいけん)は、ハイチの彫刻家パトリック・ヴィレール(フランス語版)が制作したものであり、ヴードゥー教の作家の神レグバが彫られている。
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