国民更生運動
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1932年9月1日、中央教化団体連合会会長でもある斎藤実首相が、首相官邸からラジオを通じて全国に向けて「関東大震災記念日にあたり国民更生運動の本旨を闡明す」という題で講演をする。その4日後には内務大臣の山本達雄がラジオ放送で国民更生運動を宣明する。国民更生運動とは、経済的国難ともいうべき不況を打開するために、政府が土木事業などの経済対策を実施するにあたり、国民においてもひとりひとりが自力救済に努めるように促す運動であるという。その目標は、(1)建国の大義に則り挙国一致し国難打開に邁進する、(2)自力更生の気風をつくりだす、(3)経済生活を合理化する、(4)国民各自がその分に応じ社会公共に奉仕する、とされる。府県庁と地方自治体がこの運動の中心となり、教化団体・実業団体・男女青年団・在郷軍人会・婦人団体などの民間団体もこの運動に協力することを求められる。 中央教化団体連合会は、同会の実施すべき更生運動に対し政府から9千円の下付を受ける。国民更生運動資料と銘うって7種の叢書を5万4千部を刊行し、必要な方面に無料配布し、一般希望者に安価で配布する。そのほか協議会や座談会の名称に国民更生運動の冠をかぶせたり、国民更生運動強調週間を設定したりする。 中央教化団体連合会以外の教化団体の中では中央報徳会や大日本報徳社が政府から各々1千円を直接下付される。このうち中央報徳会は機関誌の10月号を特に国民更生号として、その無料配布を9千部追加するほか、各地で自力更生講演会を開催する等の施策を行う。また、大日本報徳社では国民更生運動講演会を78回開催し、延べ1万余人が参加するほか、国民更生講習会を開講し、30人が1週間、46人が1か月受講し、また国民更生女子青年一夜講習会を開講し、90人の女子が1夜受講する。 このほか内務省は、国民更生運動の真の目的を達するには地方農村の指導者の養成を第一義と認め、教化団体と共同して指導者養成講習会を3県で開催する。兵庫県では中央教化団体連合会との共催、静岡県では大日本報徳社との共催、宮城県では中央報徳会との共催である。
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