周辺的諸問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/28 13:48 UTC 版)
飛び込み出産 特定妊婦の判断要件には「出産の準備をしていない妊婦」が含まれている。飛び込み出産により、出産前に特定妊婦として支援者が連携できなかった事例について、出生した乳児は要保護児童または要支援児童として連携が図られるものと想定されている。要保護児童の場合は児童福祉法第25条により通告され(書面のみならず電話でも可能)、要支援児童の場合は児童福祉法第21条の10の5第1項により情報提供されることとなる。 若年妊娠 特定妊婦の判断要件には若年妊娠が含まれており、産後には文字通り「子どもが子どもを育てる」状況が生じ得る。未婚かつ未成年で子どもを出産した女性は、成人するまでの期間民法の定め(第833条または867条)により、出産した子どもの親権を行うことができないため、若年妊婦の場合には親権の問題に注意を向ける必要がある。 すでに養育の問題がある妊婦 特定妊婦の判断要件には、「要保護児童、要支援児童を養育している妊娠」も挙げられている。2つ年上の兄弟への虐待が確認されている事例で、妊娠段階において医療者が県や市と連携を図ったにもかかわらず生後2か月時点での虐待死亡が生じた事例が報告されており、事例検証により「リーダーシップを担う機関を確認する」ことや「虐待の確証が得られない場合においても、(中略)職権による一時保護の検討を行うこと」などが提言されている。 妊婦の心身の不調 特定妊婦の判断要件には、「心身の不調」や「こころの問題」なども挙げられている。エジンバラ産後うつ病質問票などを用いることで、養育機能不全や虐待死に至る危険性が事前に察知される場合がある。 望まない妊娠/妊娠葛藤 特定妊婦の判断要件には、「妊娠葛藤」や「望まない妊娠」が挙げられている。厚生労働省は、地方自治体の長などに対して妊娠等に悩む人に向けた相談窓口を整備すること、各機関が連携して支援にあたることを求めている。仮に、出産後にも実親による養育が期待できない状況が続く場合には、養子縁組制度や里親制度が社会的な受け皿の候補となる。例えばドイツの場合、妊娠中絶手術を希望する際、その前段階で「妊娠葛藤相談」を受けることが義務付けられており、仮に本人が希望する場合は「秘密出産」という仕組みを介して妊婦のプライバシーと子どもの権利の両方が守られるよう制度設計され、最終的に養子縁組によって解決が図られている。 胎児虐待 胎児虐待を疑った場合、「医療機関から自治体の母子保健担当部署等と連携すること」が推奨されている。 不可欠な帝王切開に対する拒否 児頭骨盤不均衡により帝王切開以外に出産方法がないにもかかわらず、帝王切開を拒否した事例が特定妊婦として報告されている。
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