否定的意見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/07/16 09:38 UTC 版)
しかし、母と娘が過剰に依存し合う傾向が年々強まる中、それを問題視する向きも顕著になりつつある。 第一に挙げられるのはパラサイトシングルの温床になっていることである。母親は可愛い娘を実家から引き離したがらず、娘も経済的・精神的に居心地の楽な実家で母親の世話になり続けたいので、成人した後も実家から娘が離れなくなってしまうことが多くなっている。さらに、「自分の老後の面倒を見て欲しいので、娘には外に出て欲しくない」といった要求を示す母親もいる。 パラサイトシングルは男女共通の現象であるが、特に女性にパラサイトシングルに対する満足感が強い。男性の方はニートやひきこもりなど適応障害の状態にあることも多く、さもなければ父親から独り立ちするような圧力を絶えず受け続けることも多い。しかし、母子家庭ともなると父親からの圧力すらもなくなるため、母親の甘やかしと甘えを許さない社会の厳しさとの狭間で苦しんだ挙句、ひきこもりや適応障害に陥る危険性がさらに高くなる。 第二に挙げられるのはカップルや結婚後の夫婦の関係を妨害したり、崩壊させる要因となっていることである。娘のことに対して必要以上に口出しをする母親が増えてしまい、それを受容する娘も増えてしまったため、うんざりした恋人や夫が愛想を尽かして別れたり離婚したりするケースが近年後を絶たなくなってきている。母親の心理としては嫁に嫉妬する姑と同じであり、形を変えた新たな嫁姑問題とも言える。母親は娘のことをどこかでライバル視しているので、娘の幸せを妨害しようとする深層心理があるという説もある。 関係としては母娘に限ったことではないが、相互依存、相互肯定が過剰に行われるもっとも極端な例として、母娘カプセルとも呼ばれる。このカプセル化は、相互に気付かう、あるいは愛し合う関係において、第三者を排除することにより、行われる。母娘カプセルの場合、夫が排除される。二人にとって都合が良ければ、世間的に間違ったことや微妙なことも、相手を肯定してやりたい、受け入れてあげたいと、二人の間で強力な肯定のスパイラルが発生する。結果として、二人以外の対人関係において、問題を生じやすくなり、また問題に対する解決能力も低下する。 このカプセル化が親子間で発生した場合、本来、子供自身が考え、行動すべき事柄について、親が代理行動を行うようになることがある。親の代理行動は、子供に解決方法を教える手段でもあるが、常に代理行動で問題が解決する場合、けして子供本人に解決能力は育たない。結果として、子供の社会的な発達を阻害する大きな要因になる。
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