朝鮮語からの借用語とする説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 02:29 UTC 版)
朝鮮語「나라(ナラ)」(国の意)からの借用語。おそらく松岡静雄を嚆矢とする。朝鮮語の影響があるのではないかという指摘は、すでに金沢庄三郎の『寧楽考』に見られる。ただし、どちらも比較されているのは近代朝鮮語である。しかし、そもそも古代朝鮮語の実態はほとんどわかっておらず、文献においてナラの語が確認できるのはようやく15世紀においてであり(『竜飛御天歌』(1447年)、『月印釈譜』(1459年)、『法華経諺解』(1463年)など)、この語が7世紀以前に存在した、あるいは存在しなかったといういかなる確証もない。これら文献には 「나랗 (narah)」の形で現れ、より古くは *narak という発音であったと考えられる。クリストファー・ベックウィズ(英語版)は、この朝鮮語の *narak は中国語の中古音「壌 *narak」の借用語であり、後述する古代日本語や高句麗の言語の na とは無関係であると推論している。また、ナラ、ナル、ナロという地名が、奈良以外にも多く存在することも説明できないといった否定的意見もある。
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