可換な例とは? わかりやすく解説

可換な例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/05 23:01 UTC 版)

局所環」の記事における「可換な例」の解説

可換(および非可換な)体は {0} を唯一の極大イデアルとする局所環である。 局所環に「局所」の名を冠する理由次のようなものである。まず、実数直線上で 0 を含むある開区間において定義される実数連続函数考え函数の 0 付近という局所での挙動のみに注目して、0 を含むある開区間(これはいくらでも小さく取って構わない)で一致するような函数全て同一視する。この同一視というのは同値関係成し、この同値類を 0 における実数連続函数(め、germ)または実数連続函数(が)という。実数連続函数通常の函数の値ごとの加法と乗法によって可換環をなす。 この連続函数全体の成す環が局所環であることを知るためには、函数芽可逆性定義する必要がある函数芽 f が可逆であるとは f(0) が 0 でないこととする。これはつまり、f(0) が 0 でなければ連続函数性質から、0 を含む適当な開区間上で f が 0 にならず、したがってその区間上で g(x) = 1/f(x) という連続函数考えることができるという理由よる。このとき fg は 1 に等しい。 この特徴づけ明らかなことは、非可逆函数芽の和がやはり非可逆となるということであり、これによって函数芽の環が可換局所環であることを知ることができる。特にこの局所環極大イデアルは f(0) = 0 を満たすような函数芽全体一致する。 これと同じようなことは、位相空間とその上一点実数連続函数からの環を考えることでもできるし、可微分多様体上に一点をとって、可微分写像からの環を考えても、あるいは点つきの代数多様体上の有理函数からの環を考えてもよいが、結果として、これらのの環は局所環となる。またこれらの例は、代数多様体一般化であるスキームが、どうして特殊な局所環付き空間として定義されるのかということ説明一助となるもう少し算術的な例として、分母奇数となるような有理数全体の成す環 Z(2)局所環である。その極大イデアルは、分子偶数分母奇数あるよう分数全体 2Z(2) である。もっと一般に可換環 R とその素イデアル P が与えられたとき、R の P における局所化は、P の生成する唯一の極大イデアルを持つ局所環である。 体上の一変数あるいは多変数の)形式冪級数環局所環の例である。極大イデアル定数項持たない冪級数全体である。(一方で上の多項式環局所環ではない。) 体上の二元数の成す多元環局所環である。もう少し一般に、F が体で n が正整数であるならば、商環 F[X]/(Xn) は、定数項持たない多項式の類全体の成す極大イデアルを持つ局所環となる。実際に等比級数使えば定数項を持つ任意の多項式Xn を法として可逆であることが示せる。 これらの例では、その元はどれも冪零であるか可逆あるかのいずれかである。 局所環賦値論では重要な役割を果たす。体 K(これは函数体かもしれないそうでないかもしれない)が与えられたとき、そこから局所環を見つけることができる。定義により、K の部分環 R が K の付値環であるならば、K のどの非零元についても、x か x−1 のうちのいずれかが R に属す、という性質を持つ。そのような性質を持つ部分環はどれも局所環である。K が実際に代数多様体 V 上の函数体であるならば、V の各点 P に対して、「P において定義された」函数の成す賦値環を考えることができるだろう。V の次元2 以上である場合なら、以下のような状況見て取るのは困難である: F および G が V 上の有理函数で F(P) = G(P) = 0 を満たすとする。このとき、函数 F/G の P における値というのは不定形である。例え簡単なところで Y/X において、極限直線 Y = tX にそって近づけるようなことを考えると、「P における値」という概念には単純な定義というものが無いように思われるだろう。けれども賦値使えばこのようなことは取り除かれる

※この「可換な例」の解説は、「局所環」の解説の一部です。
「可換な例」を含む「局所環」の記事については、「局所環」の概要を参照ください。

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