古林清茂
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古林 清茂(くりん せいむ、1262年 - 1329年)は、中国・南宋から元時代の禅僧。俗姓は林、諱は清茂、字は古林、金剛憧・休居叟などと号した。温州の人。横川如珙の法嗣、門下に了庵清欲・竺仙梵僊、日本僧では月林道皎・石室善玖らがいる。中峰明本と並んで元代中期の禅林の巨匠で、当時、日本からの渡航僧で古林に参ぜぬものなしといわれたほどの高僧である。著に『古林茂禅師語録』、『宗門統要続集』が知られる。 古林は馮子振と交遊があり、書法に長じ、その書は格調高く貫禄を備えている。また文学にも造詣が深く、入元僧はそのような古林の士大夫的教養に憧れてその門に学んだ。元代は南宋時代に増して禅林が様々な文化との関わりを強め、特に文学への関心が高かった。が、その内容は次第に世俗化し、禅僧の本分を弁えず大慧派の人々の詩文は一般の詩に同化していった。古林はこうした傾向を阻止しようと題材を仏教に限定した偈頌を重視したが、大慧派の笑隠大訢の出現によって、禅林文学は偈頌から四六駢儷文にその中心を移したといわれる。 月林道号 『月林道号』(げつりん どうごう)は、泰定4年(1327年)3月、古林が月林道皎に書き与えた「月林」の道号。号のあとに七言絶句一首の偈がある。長福寺蔵。国宝(指定名称は古林清茂墨蹟(月林道号 泰定四年三月望日))。 与別源円旨送別偈 『与別源円旨送別偈』(べつげんえんしにあたう そうべつのげ)は、泰定2年(1325年)、古林が入元僧・別源円旨に書き与えた偈。別源が帰朝する5年前に与えられたもので、送別偈といわれるが内容は印可状と同じ意味の重さを持つ。織田信長が秘蔵していたという由緒ある墨跡である。五島美術館蔵。国宝(指定名称は古林清茂墨蹟(別源円旨送別偈 泰定二年九月二日))。 送幽禅人偈頌 『送幽禅人偈頌』(ゆうぜんじんにおくる げじゅ)は、泰定3年(1326年)、古林が幽禅人に与えた偈。福岡市美術館蔵。重要文化財(指定名称は古林清茂墨蹟(泰定三年秋孟))。幽禅人は曇幽という入元の日本僧といわれるが、その伝記は不明である。至治2年(1322年)、霊石如芝も幽禅人に餞別語を与えている。
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