参入からViRGEまで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 10:17 UTC 版)
「S3 Graphics」の記事における「参入からViRGEまで」の解説
2Dがパソコンの主流の1990年、S3は86C911という製品を発表した。この製品は、それまでの画面に表示するデータの保存場所でしかなかったフレームバッファと一線を画した画期的な製品である。グラフィックアクセラレータと名づけられたそれは、それまでフレームバッファへの描画を行っていたCPUの処理の多くを肩代わりし、CPUを本来の情報処理により多く使うことでパソコンの性能を向上させるというとても野心的な製品である。その成功により、他社からも類似的な製品が多数発売されることとなった。911(S3のチップの型番は原則的に頭に86Cと付くことから、下3桁で呼ばれることが多い)はポルシェ 911に由来し、以後、924、928などポルシェ由来の型番の製品が多い。 最初の製品である911で既にトップメーカーとなり、ハイエンドを好む日本市場では特に人気となった。 その後、バリエーションが増え、900番台はデュアルポートDRAMを用いる高額高性能製品向け、800番台はシングルポートDRAMを用いるメインストリーム向け、700番台はシングルポートDRAM利用とともにRAMDACを内蔵した普及価格製品となる。24bitカラーを可能とした924、その800番台である805、シングルポートDRAMを用いていた805のメモリアクセスをインターリーブで高速化した805i、32ビットカラーを可能とした928と、ほぼ全ての市場でトップシェアを取るまでになった。1994年にはメモリアクセスを64ビット化した製品が発売され、この製品からVision 964・Vision 864・Vision 764とペットネームが用いられるようになる。764には別にTrio64という名称も付けられている。それに続いたのが動画再生支援を追加したVision 968・868である。この当時のS3社は、まさに業界をリードする会社であった。 市場で2D描画が十分な性能と考えられ始めた1996年、マイクロソフトからDirectX 2.0が発表された。これには3D APIのDirect3Dが搭載されており、市場は3D性能を重要視し始めた。S3社は独自の命令セットS3dとそれを用いた新製品ViRGEシリーズを発表した。しかしS3社は性能向上に伴う価格上昇を避け製品の低価格化(当然ながら性能もそれなりに低くなる)が主流となると見てS3 ViRGE(英語版)(86C325)とデュアルポートDRAM版のViRGE/VXを開発し発売した。その後、325 (ViRGE) を基に低価格市場向けで開発を計画していたが、その予測は完全に外れ、市場の性能競争はさらに激化していった。
※この「参入からViRGEまで」の解説は、「S3 Graphics」の解説の一部です。
「参入からViRGEまで」を含む「S3 Graphics」の記事については、「S3 Graphics」の概要を参照ください。
- 参入からViRGEまでのページへのリンク