千日前光明地蔵尊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
「千日デパート火災」の記事における「千日前光明地蔵尊」の解説
1984年(昭和59年)1月、本件火災現場の千日デパート跡地に新ビル「エスカールビル」が新築された。その際に、同ビル北西側の敷地内の一角に「光明地蔵菩薩」を祀る御堂「光明地蔵尊」が建立された。この地蔵尊は、ミナミ界隈の「六地蔵」のうちの一つに数えられ、御堂の中には御本尊として光明地蔵菩薩が一体安置されている。御堂の建立には、千日デパートの元テナント店主だった人物が犠牲者の冥福を祈ろうと私財を投じて尽力された。御堂は17張りの提灯と紫幕で飾られ、夜間には提灯に明かりが灯る。本坪鈴、賽銭箱も備わり、御参りができるようになっている。御本尊の光明地蔵は立像で、蓮華座の上に立ち、剃髪に衲衣と裳を纏い、右手に錫杖、左手には如意宝珠を持ち、背後に頭光(輪光背)が輝く典型的な地蔵菩薩の姿である(高さ、材質、製法は不明)。 千日前の光明地蔵尊については、一般的に千日デパート火災の犠牲者を慰霊するために建立されたと解釈されているが、御本尊として「地蔵菩薩」が祀られていることから犠牲者の冥福を祈る意味合いのほかに、デパート跡地および千日前界隈の繁栄と安寧、商売繁盛、現世の人々の救済を願うなどの様々な祈念を行う意味もある。実際に本件火災事故の犠牲者を慰霊する正式な追悼施設(慰霊碑)は、高野山にあり、供養法要も高野山別格本山明王院でおこなわれていることからも、デパートビル跡地の光明地蔵尊は本来の意味の追悼施設とは若干異なる側面もある。毎年8月に開かれる地蔵盆の時期には、遺族や関係者が集まって供養を行っていたが、年を重ねるごとに参列者が少なくなり、案内状を出してもその多くは遺族から送り返されるだけで関係者の参列だけが目立つようになった。そこへ2011年から毎年8月23、24日の両日に大阪ミナミで「地蔵盆千日供養(主催・地蔵盆千日供養実行委員会)」が開催されるようになった。僧侶や修験道者(山伏)約100名がミナミ界隈の地蔵尊や不動尊などを法螺貝を吹きながら巡り、般若心経を唱えて祈りを捧げるとともに道頓堀の相合橋で護摩法要を行う。巡礼には光明地蔵尊も含まれるようになり、追悼供養と合わせて盛大に祈りが捧げられ、一年のうちで最も賑わう瞬間を迎える。
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