動詞の活用・音便
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 05:49 UTC 版)
活用 未然意志連用終止仮定命令五段読むよま-ん よまあ/よもお よみ-たい よむ よみゃ(あ) よめ 上一段起きるおき-ん おきょお/おきゅう/おきよお おき-たい おきる おきりゃ(あ) おきい/おきれ 下一段食べるたべ-ん たびょお/たべよお たべ-たい たべる たべりゃ(あ) たべえ/たべれ カ変来るこ-ん こお き-たい くる くりゃ(あ) こい サ変するせ-ん しょお し-たい する すりゃ(あ) せえ 意志形は、推量(~だろう)・意志・勧誘(~しよう)を表すもので、但馬北部の美方郡・豊岡市(旧出石郡東部を除く)・養父市北部において、五段動詞でア段音の活用になる。これは前述の「アウ→アー」の変化によるもので、オ段の活用形がないため四段活用とも呼ばれる。一方、南部では共通語と同じ形である。一段動詞には「おきょお」「たびょお」という古形を保ち、養父市の関宮地区・大屋町、美方郡香美町の村岡区、豊岡市日高町西部などにはさらに古い「おきゅう」形(上一段のみ)も残る。「たびょお」「おきゅう」形は中国地方に広くみられる活用形であるが、次第に古形は衰退してきている。 ア行(ハ行)五段動詞の連用形では、多くの西日本方言においてウ音便形が用いられるのに対し、朝来市を除く但馬全域で「洗って」「揃った」「思って」「食った」のように促音便を用いる。ただし、~au型のもののうち、「買う」「会う」などの二音節語全てと、それを後部にもつ複合語「出会う」などは、美方郡・豊岡市(旧出石郡東部を除く)・養父市北部で「かあた」「ああた」「かあて」「ああて」のように、ウ音便が「アウ→アー」の変化を起こしたものを用いる。朝来市では、「こおた(買)」「おおて(会)」「あろおた(洗)」「おもおて(思)」のように、近畿方言と同じウ音便形を用いる。 サ行五段動詞の連用形は、「出した→だいた」「落とした→おといた」のようにイ音便を用いる。これをサ行イ音便と言い、かつては近畿中央部でも用いられたが衰退し、現在は北陸・東海や中国地方などで用いられる。但馬での実際の発音は「でぁあた・でえた」「おてえた」のようになることが多い。また、主として美方郡・豊岡市北部では、「行きてきた」「行きた」のように、「行く」が音便化しない形で用いられる。 仮定表現では、近畿中央部では「~たら」にほぼ一本化されているが、但馬では「~れば」の変化した形を併用しており、中国地方に広くみられる形である。
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