動詞の照応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/17 19:23 UTC 版)
ツォツィル語の照応体系は能格-絶対格型であるため、自動詞の主語と他動詞の直接目的語とは同じ接辞の組によって表され、他動詞の主語はそれとは異なる接辞の組によって表される。たとえば、以下の文に用いられている接辞を比較されたい。 l- i- tal -otik 〈私たち(包括)が参った〉 'i j- pet -tik lok'el ti vinik -e 〈私たち(包括)が人をさらった〉 一つ目の文においては自動詞tal〈来る〉に-i-...-otikという主語が一人称・複数・包括であることを示す接辞が付加されているが、もう一方の文においては動詞pet〈運ぶ〉が他動詞であるため一人称・複数・包括であることを示すためにj-...-tikという別の接辞が用いられている。 l- i- s- pet -otik 〈彼が私たち(包括)をさらった〉 そしてこの三つ目の文から、一人称・複数・包括では目的語〈私たちを〉は一人称・複数・包括の自動詞主語〈私たちが〉と同じ-i-...-otikという接辞で表されていることが見てとれる。故に、-i-...-otikは一人称・複数・包括の絶対格用のマーカーで、j-...-tikは同じ人称・数・包括性の能格用のマーカーである。 またl- i- s- pet -otikの文からは三人称用の能格マーカーがs-であることも分かるが、これは三人称の絶対格用マーカーがØ、つまり無しであることと対照を為している(参考: 'i- tal 〈彼/彼女/それ/彼らが来た〉)。 サン・アンドレス・ララインサル方言において他動詞の取りうる形態は大まかに以下の通りである。 maj 〈ぶつ〉目的語一人称二人称三人称主語一人称不完全相- ajmaj jmaj 完全相jmajot 二人称不完全相amajun - amaj 完全相三人称不完全相ismaj asmaj smaj 完全相lismaj smajot
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