内閣による賞杯
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日本国憲法下の日本においては、褒章条例(明治14年太政官布告第63号)に基づき、一定の功績のあった個人(遺族)又は団体に国から授与される。他の栄典との関係はおおむね次のとおり。 位階 - 故人に追賜 勲等・勲章 - おおむね70歳以上の生存者に叙授、又は故人に追賜 褒賞 - 褒章・褒状・賞杯の総称褒章 - 生存者に授与 褒状 - 褒章に代わるものとして、故人の遺族、又は団体に授与 賞杯 - 勲章に代わるものとして又は勲章と共に授与されるものとしては個人(生存者、故人とも)に、褒章に代わるもの又は褒章と共に授与されるものとしては生存者、故人の遺族、又は団体に授与 内閣は、勲章や褒章に代えて、あるいは勲章や褒章に併せて、勲功のあった者に対して賞杯を授与する。賞杯は、既に勲功相当の勲章・褒章が与えられているときにさらに顕彰すべき事由が生じた場合や、高位の宗教家など叙勲には適しない者の功績を顕彰する場合などに用いられる。 褒章条例に基づく賞杯の種類は、金杯・銀杯・木杯の3種類とされている。 賞杯には、勲章に代えてあるいは勲章と共に授与される場合は菊紋(菊花紋章)が刻まれ、褒章に代えてあるいは褒章と共に授与される場合は桐紋(五七桐花紋)が刻まれる。授与の理由となった勲功の大きさにより、銀製、木製(朱塗り)の別があり、さらに三つ重ね一組台付、三つ重ね一組、単杯(一個)の別がある。各杯の格は、以下のとおり。なお、「勲○等」表記による勲等は2003年(平成15年)11月に廃止されているため、現在は各勲等相当の勲章に準じて運用される。 銀杯(菊紋) 銀杯(一組・菊紋) 銀杯(桐紋) 木杯(一組台付・菊紋) 木杯(一組台付・桐紋) 勲章に代えて授与される場合(菊紋付き) 銀杯一組(三つ重ね): 概ね勲一等若しくは勲二等に相当する場合第5号(6寸~5寸の杯の三つ重ね) 第4号(5.5寸~4.5寸の杯の三つ重ね) 第3号(5寸~4寸の杯の三つ重ね) 銀杯一個: 概ね勲三等若しくは勲四等に相当する場合第2号(5.4寸) 第1号(4.2寸) 木杯一組台付: 概ね勲五等以下に相当する場合第5号(3.6寸~2.7寸の杯の三つ重ね) 木杯一組: 概ね勲五等以下に相当する場合第4号(4.6寸~3.4寸の杯の三つ重ね) 褒章に代えて授与される場合または褒章に併せて授与する場合(桐紋付き) 銀杯一個(4.2寸) 木杯一組台付第7号(4.6寸~3.4寸の杯の三つ重ね): 5000万円以上の寄付者(紺綬褒章に併賜) 第6号(4.2寸~3寸の杯の三つ重ね): 2500万円以上5000万円未満の寄付者(紺綬褒章に併賜) 第5号(3.6寸~2.7寸の杯の三つ重ね): 1500万円以上2500万円未満の寄付者(紺綬褒章に併賜) その他 金杯: 最高位の賞杯として1938年(昭和13年)まで授与例があったが、「時局の情勢に鑑み」との理由により、同年7月20日「当分の間、金杯の賜与を中止し代わりに銀杯を賜与する」旨の賞勲局上申第272号(褒章条例ニ依ル金杯ノ賜与等ニ関スル件)が昭和天皇により裁可され、以後復活されないままの状態が続いている。 銀杯一箇: 銀杯一個の別表記。日本国憲法下の官報掲載では7回(計24人)の実例あり。木杯では「箇」の用例なし。 木杯一個: 1990年までの戦没者叙勲において追贈例あり。1963年頃から高齢者(100歳又は88歳)に対し記念品として一律授与の例あり。
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