内定の取消し・撤回
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/01 04:00 UTC 版)
企業から採用内定を得た学生は、その企業への入社を期待して、他社への応募やすでに得ていた他社の内定を辞退し、他社への就職の機会を放棄する。このような採用内定中の学生の立場を考えると、「解約権留保」といえども企業が、採用内定中にみだりに破棄することは許されない。企業側から採用内定を取消すことができる場合とは、一般的な解雇が許されるような事由がある場合のほか、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実を認知し、その認知した事実を理由として採用内定を取消すことが客観的に合理的と認められ社会通念上相当と認められる場合に限られる(前述、大日本印刷事件)。 内定によって労働契約が成立する以上、内定の取消しが無効である場合、内定者は労働契約上の地位の確認及び就労開始予定日以降の賃金の遡及払いを請求することができる。また内定取消しが不法行為または債務不履行であるとして損害賠償を請求することができる。なお公務員については、採用発令がなされるまでその地位は成立しないとして、正当な理由なくして採用内定が取り消されたとしても、地位確認等は請求しえない(判例として、東京都建設局事件、最判昭和57年5月27日)。 新規学卒者の内定期間に、これを取消し、又は撤回するとき、内定期間を延長しようとするときは、あらかじめ、公共職業安定所長に人材開発統括官が定める様式によりその旨を通知するものとする(職業安定法施行規則第35条2項)。厚生労働大臣は、第35条の規定により報告された取り消し、又は撤回する旨の通知の内容(当該取消し又は撤回の対象となった者の責めに帰すべき理由によるものを除く。)が、厚生労働大臣が定める場合に該当するとき(倒産(雇用保険法第23条2項1号に規定する倒産をいう。)により第35条2項に規定する新規学卒者に係る翌年度の募集又は採用が行われないことが確実な場合を除く。)は、学生生徒等の適切な職業選択に資するよう学生生徒等に当該報告の内容を提供するため、当該内容を公表することができる(職業安定法施行規則第17条の4)とされ、「職業安定法施行規則第十七条の四第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める場合(平成21年厚生労働省告示第5号)によって、取消し又は撤回する旨の通知の内容が、次のいずれかに該当する場合に公表することとされる。 2年度以上連続して行われたもの 同一年度内において10名以上の者に対して行われたもの(内定取消しの対象となった新規学卒者の安定した雇用を確保するための措置を講じ、これらの者の安定した雇用を速やかに確保した場合を除く。) 生産量その他事業活動を示す最近の指標、雇用者数その他雇用量を示す最近の指標等にかんがみ、事業活動の縮小を余儀なくされているものとは明らかに認められないときに、行われたもの 前三号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する事実が確認されたもの内定取消しの対象となった新規学卒者に対して、内定取消しを行わざるを得ない理由について十分な説明を行わなかったとき。 内定取消しの対象となった新規学卒者の就職先の確保に向けた支援を行わなかったとき。
※この「内定の取消し・撤回」の解説は、「内定」の解説の一部です。
「内定の取消し・撤回」を含む「内定」の記事については、「内定」の概要を参照ください。
- 内定の取消し・撤回のページへのリンク