光学顕微鏡の使用方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/15 16:58 UTC 版)
教育用顕微鏡の場合の例を示す。 顕微鏡を直射日光の当たらない、明るい場所に置く。 粗動ハンドルを回し、レボルバとステージとを遠ざける。 レンズをケースから取り出す。対物レンズは取り付け部を上にして収納されているので、逆さに置いてからケース本体を外すようにし、取り付け部からの埃の侵入を防ぐ。 接眼レンズ、対物レンズを、鏡筒内への埃の侵入を防ぐためこの順で取り付ける。レボルバを回転させ、低倍率の対物レンズを選択する。 接眼レンズをのぞきながら反射鏡を動かし、明るさが均一になるようにする。危険なので決して直射日光を用いてはならない。 プレパラートをステージの上に置き、観察対象物が対物レンズの真下になるように固定する。 顕微鏡を横から見ながら、粗動ハンドルを動かして対物レンズとプレパラートを近づける。 接眼レンズをのぞきながら、粗動ハンドルで対物レンズをステージから遠ざける方向に動かしてピントを合わせる。このとき、逆に回すとプレパラートと対物レンズが接触して両者を破損する危険がある。 概ねピントが合ったらプレパラートを動かして観察しやすい像を探す。像は上下左右が逆に映っているので動かす方向に注意する。 必要に応じレボルバを回転させ高倍率の対物レンズに変える。通常は同焦点設計になっており対物レンズを変えてもピントがずれないようになっているが、他社製など設計の異なるレンズが混ざっているとうまくいかないこともある。 絞りで照明を、微動ハンドルでピントを調節しつつ観察する。 使用後は埃・汚れを拭き取って収納する。ごく頻繁に使用するのであれば必ずしもレンズを外す必要はないが、通常は取り付け時と逆の順序で取り外し、収納する。万一レンズが汚れていたら説明書に従って清掃する。一般的にはカメラのレンズと同様に埃を払ってからレンズクリーニングペーパーで拭く。皮脂などの汚れには微量のエタノールなどで湿らせて用いる。 絞りの使い方:教育用顕微鏡では円板絞りを備えることが多く、ステージの裏側に大小の穴が開いた円板が取り付けてある。これを回転させて使用する穴を選び、照明される範囲と入射光線の角度の範囲を調節する。明るくしようと必要以上に大きな穴を用いて観察領域外を照らしても迷光が増えるなど有害無益である。絞りは像のコントラストや焦点深度(ピントが合う奥行き)にも関係し、小さく絞った方がいずれも大きくなる。ただし小さく絞りすぎると解像度が落ち暗くなってかえって見にくくなる。 ピント調節:手作業で薄く切った試料や微生物を水で封じたようなプレパラートには厚みがあり、特に高倍率では全体に一時にピントを合わせることはできない。そのため常にピントを調節しながら観察する必要があるが、このようなときは大きく動かすことはないので微動ハンドルを用いる。 外部光源の利用:照明装置として反射鏡のみを備える場合、自然光を利用すると室内では特定の方向からしか取り入れられないので、多人数でいる場合など全員が利用できるとは限らない。天候にも左右される。そのため、机上に直管蛍光灯を平らに置く光源装置があり、その前に顕微鏡を並べて利用する。また、鏡の代わりにその固定部に取り付けることのできる簡易な光源もある。
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