信太郎・信三郎の訴訟合戦
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「一澤帆布工業」の記事における「信太郎・信三郎の訴訟合戦」の解説
2006年(平成18年)3月3日、信三郎の妻が原告となって、信太郎らを相手に、遺言書の無効確認と取締役解任の株主総会決議の取り消しを求めた訴えを、京都地方裁判所に提起する。遺言無効確認訴訟は、相続人全員で訴えることを必要とする固有必要的共同訴訟ではなく、相続人一人が訴えることのできる通常共同訴訟であり、原告と被告の間に限った判断が行なわれるため、最初の訴訟では原告になっていなかった妻には最初の敗訴判決の効力(既判力)が及ばず、再び同様の訴えが提起できたものと推測される。逆に信太郎は、2007年(平成19年)2月14日に、信三郎らそれまでの経営陣に対し、類似の商標を使用して競業行為を行なった商標権侵害と、株主総会の決議を経ずに役員報酬を受け取った等で、13億円の損害賠償請求訴訟を提起する。この裁判に関しては、信三郎は裁判に消極的で、お互いに商品で勝負すべきと発言していた。 遺言書無効確認の裁判では、京都地方裁判所の一審判決で信三郎による訴えと同様に請求は棄却された。しかし、2008年(平成20年)11月27日、大阪高等裁判所(大和陽一郎裁判長)は、原判決(第一審判決)を取り消し、遺言書は偽物で無効と確認。それとともに、遺言が無効になると、信太郎らの保有する株式だけでは株主総会の定足数を欠き、手続に瑕疵(問題)があることになるため、信三郎らの取締役解任を決定した2005年(平成17年)12月16日の臨時株主総会の決議を取り消す、原告側逆転勝訴の判決を言い渡した。重要な文書なのに実印でない認印が使われる事や信夫が生前こだわって使用していた「一澤」ではなく「一沢」が使用されたなどの不自然な点があり、真正とは認められないとの理由からである。さらに、2009年(平成21年)6月23日、最高裁判所第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は、この大阪高裁判決を支持し、社長となっていた信太郎の上告を棄却した。これにより、遺言は無効で、信三郎らの取締役解任を決定した株主総会決議を取り消すとの判決が確定した。 また、遺言書無効確認の最高裁判決の結果を受けて、2009年(平成21年)10月21日には、会社が信三郎ら経営陣に対して提起していた13億円の損害賠償請求訴訟が、信太郎には代表権限がなく、訴えが不適法であったとして、京都地方裁判所が原告の訴えを退ける判決をする。
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