保険医療機関の指定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/15 07:07 UTC 版)
保険医療機関の指定は、病院若しくは診療所の開設者が病床の種別ごとにその数を定めて指定の申請を行う(第65条1項、2項)。厚生労働大臣は、この申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、この指定をしないことができる(第65条3項)。 当該申請に係る病院若しくは診療所が、健康保険法の規定により保険医療機関の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき。 当該申請に係る病院若しくは診療所が、保険給付に関し診療の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて厚生労働大臣の指導を受けたものであるとき。 当該申請に係る病院若しくは診療所の開設者又は管理者が、健康保険法その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。 当該申請に係る病院若しくは診療所の開設者又は管理者が、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。 当該申請に係る病院若しくは診療所の開設者又は管理者が、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、厚生年金保険法又は国民年金法の定めるところにより納付義務を負う保険料、負担金又は掛金(地方税法の規定による国民健康保険税を含む。以下「社会保険料」という。)について、当該申請をした日の前日までに、これらの法律の規定に基づく滞納処分を受け、かつ、当該処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間にわたり、当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべて(当該処分を受けた者が、当該処分に係る社会保険料の納付義務を負うことを定める法律によって納付義務を負う社会保険料に限る。)を引き続き滞納している者であるとき。 前各号のほか、当該申請に係る病院若しくは診療所が、保険医療機関として著しく不適当と認められるものであるとき。 また厚生労働大臣は、病院又は診療所について申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、その申請に係る病床の全部又は一部を除いて、指定を行うことができる(第65条4項)。 当該病院又は診療所の医師、看護師その他の従業者の人員が、厚生労働省令で定める員数及び厚生労働大臣が定める基準により算定した員数を満たしていないとき。 当該申請に係る病床の種別に応じ、医療法に規定する地域における保険医療機関の病床数が、その指定により同法に規定する医療計画において定める基準病床数を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した数を超えることになると認める場合(その数を既に超えている場合を含む。)であって、当該病院又は診療所の開設者又は管理者が同法の規定による都道府県知事の勧告を受け、これに従わないとき。 その他適正な医療の効率的な提供を図る観点から、当該病院又は診療所の病床の利用に関し、保険医療機関として著しく不適当なところがあると認められるとき。 なお指定の期間は指定の日から6年間であるが(第68条1項)、保険医である医師の開設する保険医療機関(病院及び病床を有する診療所を除く)であって、その指定を受けた日からおおむね引き続き当該開設者である保険医のみが診療に従事しているもの又はその指定を受けた日からおおむね引き続き当該開設者である保険医及びその者と同一の世帯に属する配偶者、直系血族若しくは兄弟姉妹である保険医のみが診療に従事しているものについては、指定の効力を失う日前6月から同日前3までの間に、別段の申出がないときは、指定更新の申請があったものとみなされる(個人開業医の自動更新。第68条2項、保険医療機関及び保険薬局の指定並びに保険医及び保険薬剤師の登録に関する省令第9条)。 診療所が医師の開設したものであり、かつ、当該開設者である医師のみが診療に従事している場合において、当該医師について保険医の登録があったときは、当該診療所について、厚生労働大臣の指定があったものとみなされる。ただし、当該診療所が、上記1~6に該当する場合であって厚生労働大臣の指定があったものとみなすことが不適当と認められるときは、この限りでない(個人開業者の指定申請手続きの簡素化。第69条)。 健康保険組合直営の病院若しくは診療所は、当該健康保険組合の被保険者・被扶養者のみに対して診療する場合は保険医療機関の指定を受ける必要はなく、医師の全員が保険医である必要はないが、指定を受けると当該組合員以外の者にも開放しなければならず、診療に従事する医師全員が保険医でなければならない(昭和32年9月2日保発123号)。 保険医療機関として指定をうけた病院が、保険者を2、3に限定しその被保険者及び被扶養者のみを診療することはできない。協会けんぽの適用事業所の事業主がその従業員のために開設する診療所は、第63条3項2号の医療機関になり得ない(昭和32年9月2日保発第123号)。
※この「保険医療機関の指定」の解説は、「保険医療機関」の解説の一部です。
「保険医療機関の指定」を含む「保険医療機関」の記事については、「保険医療機関」の概要を参照ください。
- 保険医療機関の指定のページへのリンク