作品紛失問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 09:58 UTC 版)
2018年12月17日、群馬県高崎市出身の物故作家2人の作品(52点)を遺族から預かり、旧前橋市立第二中学校のパソコン室に搬入した。アーツ前橋には状態が悪い作品でも対応できる一時保管庫があったにもかかわらず、(紙の美術作品の劣化防止に必要な)空調設備もない廃校に置かれた。2020年1月6日、このうち3点が見当たらないことを学芸員が確認され、2月3日には合計6点(木版画4点と書2点)の紛失が判明した。前橋市長に報告されたのは4月で、市長は作家遺族らへの連絡を指示したが、連絡は7月で、市による対外公表は11月まで遅れ、作品紛失だけでなく「隠蔽」との批判も起きた。 2020年12月には「アーツ前橋作品紛失調査委員会」が設置され、資料の精査や聞き取り調査を行うことになった。2021年3月に同委員会は、保管場所で2019年12月20日に不要な備品が廃棄されており、侵入の形跡もないことから、紛失作品はそれらと一緒に誤って廃棄されたか、調査などの過程で行方が分からなくなったとの結論をまとめた。2021年6月には、再発防止策などの検討委員会が発足した。同年10月末に提言書の原案がまとまった。アーツ前橋の学芸員は任期付きや準常勤ばかりで若手が短期で入れ替わり、全体をとりまとめる管理者がおらず、廃校での作品保管などの情報が十分共有されていなかったことから、作品管理のマニュアル整備や学芸員の待遇改善が必要と指摘されている。 前館長の住友は2021年6月に市へ意見書を送り、紛失を作家遺族に伝えたうえで原因を調べて都度報告すべきだったとの反省を示しつつ、調査委員会が盗難の可能性を十分検討していないことを批判した。
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