低速回転ディーゼル・エンジンの補機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 10:03 UTC 版)
「船舶工学」の記事における「低速回転ディーゼル・エンジンの補機」の解説
燃料系 (燃料の流れに沿って記述。燃料タンク(Fuel Oil Tank)より)燃料移送ポンプ(Fuel Oil Transfer Pump) 燃料油沈降タンクへ燃料油を送るとともに、トリムやヒールの調整のために燃料タンク間の移送にも使用される 燃料油沈降タンク(Fuel Oil Settling Tank) タンク内で燃料を加熱して固形物を沈降させ、水分も分離させて取り除く 清浄機(Purifier) 遠心力によってさらに不純物を取り除くとともに、安価だが重質のC重油を130-135℃に加熱して使いやすいがやや値が高いA重油と同じ粘度程度にする 燃料油常用タンク(Fuel Oil Service Tank) 燃料を一時的に溜める 燃料油ブースター・ポンプ(Fuel Oil Booster Pump) 燃料を加圧して主機関に送る (主機関内の燃料油噴射ポンプ(Fuel Injection Pump)) 吸排気系 過給器(ターボチャージャー、Turbo charger) シリンダーから排出される排ガスの圧力を使って、新たな空気をシリンダー内に加圧して送り込む装置。 インタークーラー(Intercooler) 過給器によって加圧された空気は温度が上昇するため、これを冷却することで燃焼時の膨張効率を改善するための装置。 排気ボイラー 船内で使用する水を高温排気を利用して温める装置。 潤滑油・冷却水系 潤滑の必要性 エンジン内部には金属同士が接触しながら動くため、何もしなければ摩擦によって発熱が生じてトラブルの原因となり、また接触点が削られて必要な強度が保てなくなる恐れがある。 潤滑油は金属同士の間に入り込んで両者の直接の接触を避けて摩擦を減らし、発熱や損耗を最小限に抑える。潤滑油が奪う熱は冷却の役割も果たす。 冷却の必要性 アルミ合金は300度以上で、鋳鉄も400度以上になれば急速に強度が低下する。これらが使用されている主機関は冷却されなければ強度不足が起きる。主機関内のエンジン・シリンダーは内部で燃料が燃焼するため高温になり、冷却しなければ強度不足によって変形がおきて、最悪の場合は亀裂が生じる。また、高温は熱歪みを生み各部がゆがみ、また膨張によってピストンがシリンダーと固着する「焼き付き」を起こす場合がある。潤滑油が焼けて機能を失い、やはりエンジン内部での摩擦抵抗が増して出力低下が起き、やがて摩擦そのものが発熱を生み出して焼き付きを起こす。 シリンダー内下部にはシリンダー油が供給され、燃料弁、ピストンは冷却清水と潤滑油によって冷却する。冷却清水と潤滑油は機関室に取り込まれた海水によって冷却される。主海水ポンプ 主冷却水ポンプ 潤滑油ポンプ 燃料弁冷却ポンプ 潤滑油清浄機 高圧エアー・タンク コンプレッサー パイプとバルブのハンドルの識別色 燃料管:赤 清水管:青 海水管:緑 蒸気管:銀 圧縮空気管:ねずみ色 ビルジ管:黒
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