位相差顕微鏡との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/15 13:38 UTC 版)
「微分干渉顕微鏡」の記事における「位相差顕微鏡との比較」の解説
非染色の生物試料の代表的な観察機器としては、微分干渉顕微鏡の他に位相差顕微鏡がある。両者にはそれぞれ長所と短所があり、場合によって使い分ける必要がある。 位相差観察と微分干渉観察の比較位相差微分干渉像の特徴 背景は暗く、試料がハロを伴う 立体的な陰影の付いた明るい像 コントラスト 標本の厚さの絶対値を反映 標本の厚さ(屈折率)の変化量を反映 標本 厚さ10μm程度まで 厚さ数百μmまで、大きな試料も可 その他 ‐ プラスチック容器は使えない どちらも試料のコントラストを強調して観察可能な点は同じである。位相差ではおおよそ試料の厚みに応じた濃淡が付くのに対し、微分干渉では厚みや屈折率の変化量によって影が付く。従って、位相差では試料全体のコントラストが強まるが、微分干渉では物体の輪郭のみが強調される。 位相差顕微鏡では光源の光が位相差板によって大幅に減光される為、視野は暗い。微分干渉の場合もポラライザおよびアナライザによる減光は避けられないが、位相差ほどには光は失われず、比較的明るい視野を保つ。位相差の像は物体の周囲にハロを伴っており、これがコントラストを上げて暗い視野の中での視認性を上げている。しかし、厚みのある試料では逆にハロが過剰となり、解像度が低下する傾向がある。また、位相差では被写界深度外の試料にも強いコントラストが付く為、目的物以外が含まれる雑多な試料の観察には向かない。 微分干渉特有の制約として、ポリスチレンのような合成樹脂の容器に入っている試料の観察に向かない、という事がある。これは、多くの合成樹脂は差異はあるものの偏光子としての特性を備えており、これが光路に入ると微分干渉で重要な偏光の振動面が撹乱される為である。ゆえに、光路に入るものは非晶質であるガラス製の容器やスライドガラスを使わなければならない。
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