会社更生計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 15:07 UTC 版)
会社更生計画は1933年11月に「更生計画要綱」として発表された。資産と債務の整理を主眼とし、外債の買入れ償却、借入金の弁済と借り換え、傍系会社の整理と貸付金の回収、未稼働資産の活用などが主たる内容である。 資産整理について見ると、主な対象は固定資産で、財務管理の合理化と稼働率の向上が図られた。前者の具体策は償却費の増額で、1935年度以降は年間650万円前後を計上するようになり、その多くを減価償却に向けたので、償却率は標準的な水準に近づいた。償却費の増加は利益率を低下させ配当率の低下に繋がるが、後述のように環境の変化で低利社債の発行が可能になっており、増資・払い込みの必要がなく高配当の維持が不要であったことも、償却費増加の一因となった。所有有価証券は矢作水力・大同電気製鋼所の株式などを処分して650万円の売却益を計上、これに1933・34年度に計上した特別償却費約1300万を加え、これらの資金を外債の償還および買入れ、借入金の返済、設備投資などへと充当した。固定資産稼働率の向上は発電所の新設によって、未稼働の送電設備などの有効活用を図るものである。 外債の整理を1932年度から遡って見ると、1934年度までの3年間に減債基金を毎年100万ドルずつ送金し、第1回外債を額面価格にて償還、第2回外債を市価にて買入償還したので、減債基金による償還は合計381万ドルを算する。減債基金以外の資金による任意の買入償却も追加で実施して1934年下期に173万ドルを償還し、他にも約100万ドルを買入れて保有しており、外債の償還額と買入れ額は3年間の合計で約660万ドルに及んだ。減債基金は規定により、第1回外債分は1935年上期以降年額90万ドルずつ、第2回外債分は同年下期以降70万ドルずつにそれぞれ増額されたが、その後も外債負担軽減のため任意の買入れを進めた。外債残高の減少に加えて対ドル円相場が30ドルに回復したこともあり、為替差損は軽減された。 国内債務の整理は、借入金の低利社債への借り換えに重点が置かれた。低金利政策、金融緩慢、大手金融機関への資金集中といった環境の好転に加え、担保付社債の発行要件緩和(オープンエンド・モーゲージ制の導入)、金融機関の引き受け体制整備といった事情もあり、1934年以降の発行社債は金利が5%以下で、以前より発行額が多くかつ償還期間が長い低利社債となった。社債発行による資金は主に旧社債と借入金の借り換えに充当され、外債の買入れとともに支払利息の削減に繋がった。支払利息の減少に加えて購入電力単価もこの時期低減しており、一方で発生電力量が増加に向ったことから、1kWhあたりの費用は再度の低下を示して1935年以降は1銭4厘まで回復した。
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