社債問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 09:08 UTC 版)
マイカルは経営破綻前に約3,500億円の国内普通社債(SB債)を、他に転換社債や外債を発行し償還前となっていたが、マイカルに関わるこれら全てが債務不履行(デフォルト)となり、多くの投資家が被害を受けた。 破綻間際まで格付け機関による信用格付けは各機関とも、一定の信用リスクがある「B」以上としていたものの、(見せかけの)企業の安定性と高利回りが両立して謳われていたことから、機関投資家以外の地方公共団体や第三セクターなども資金運用手段としてマイカル関連の債券を幅広く保有しており、億単位で損失を被ったところでは運用先選定などの責任追及が問題となった。 特に2000年から2001年9月の破綻間際まで、野村證券等の証券会社が複数回募集した900億円分の個人向け国内普通社債(一口100万円単位)に関しては、勧誘元のリスク説明が不徹底で損失を被ったとして、主婦や資産家を中心とした個人投資家が単独あるいは集団で、証券会社や社債管理銀行の第一勧銀の業務を承継したみずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)に対し損害賠償を請求する民事訴訟を各地で提起した。これらの判決は概して棄却されている。なお、2003年の会社更生計画によって個人などの小口債権者に対しては額面の30%、大口債権者は10%を上限に弁済することが決定し、債権は無価値の紙屑とはならなかった。 またゼロ金利政策下であった2001年当時、複数の投資顧問会社が設定運用するMMFには高利回りを狙うため、マイカルのような一定の信用リスクが存在する債券をある程度組み入れており、9月11日に発生したアメリカ同時多発テロによる金融市場の混乱(NYSE取引停止・円高ドル安・世界同時株安発生)の後にマイカル倒産が発生したため、積極的運用を行っていたMMF商品に元本割れが発生した。元本割れは起きない金融商品とされていたMMFの安全神話が崩れたことで、金融・証券分野では大きな問題となった。
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