令私記断簡(軍防令・営繕令・関市令)
主名称: | 令私記断簡(軍防令・営繕令・関市令) |
指定番号: | 2434 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1987.06.06(昭和62.06.06) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 書跡・典籍 |
ト書: | |
員数: | 2紙 |
時代区分: | 平安 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | わが国古代の基本法である令に注釈を加えたものの断簡で、唐招提寺の宝蔵の天井裏に納められていた米俵の中に入れられていた写経等の断簡の中から発見されたものである。 現状は大小六つの紙片に分かれているが、もとは二紙の断簡である。第一紙は軍防令の断簡で二片、計十二行余、第二紙は営繕令・関市令の断簡で四片、計二十一行余を存している。いずれも令文の語句を書き出し、それに対する注釈文を双行に記し、令文・注釈文とも楷書で一筆に書かれ、書き入れ等は見られない。その書風からみて、平安時代初め、九世紀前半頃の書写になるものと認められる。紙背には書名未詳の聖教が書写されており、これは平安時代中期の書写になるものと考えられるが、その料紙の一方の端に綴じ穴と綴じしろがあり、令私記の紙背を利用して袋綴にして聖教を書写したものであることが知られる。 この令私記の注釈の中には「甲云」「乙云」として他の説を引く場合と、ただちに注記を記す場合とがあるが、その内容は語句の語義、万葉仮名による和訓を記すものが多く、条文の適用等に関する解釈は少なく、またおおむね簡略である。九世紀に施行されていた令は養老令で、この令私記断簡に引かれた令文は養老令では軍防令十八条、営繕令十条、関市令十二条の計四十条分であるが、ここに引かれた令文の配列および語句は『令義解』等に引かれた養老令条文と異なるものがあり、巻次が養老令で第二十の営繕令の次に第二十七の関市令があり、関市令の編目が「第十八」と書かれるなど、現在知られる養老令との違いが注目される。奈良・平安時代には明法家によって多くの令注釈書が作られたが、いずれも『令集解』等の諸書に引用されて伝わるのみで、この令私記断簡は、わずか二紙分ではあるが、平安時代前期の令注釈書の原姿を伝えた唯一の遺品として貴重である。 |
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