他の開発手法との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 05:19 UTC 版)
「アジャイルソフトウェア開発」の記事における「他の開発手法との比較」の解説
開発は計画と実行の観点から4つに分類できる。 計画のタイプは予測型(英: predictive)と適応型(英: adaptive)に分類される。予測型は「事前の充分な予測により完成形の計画が策定できる」という立場をとり、必要な計画を事前に確定させる。一方適応型は「初期の計画を実行し、実行結果に基づいて計画を適応させる」という立場をとり、小さい計画・仮説を立てて実行し判明した問題点から計画自体を改善する。 実行のタイプは逐次型(英: sequential)と反復型(英: iterative)に分類される。逐次型は「計画全体を多段プロセスに分け、プロセスを順次実行する」という立場である。例えばまず設計プロセスを、次に実装プロセスを、最後にテストプロセスを、とシーケンシャルに実行する。反復型は「計画を価値・機能に基づき分割した上で "1つの価値・機能に対する全プロセス実行" を反復する」という立場である。例えば動画アプリを再生機能とお気に入り機能に分け、まず再生機能の設計からテストまでを完成させ、次にお気に入り機能の設計からテストまでを完成させる。 アジャイルは価値の実証と適応を繰り返すため、適応型計画・反復型実行タイプの開発である。反復型開発も同じタイプに分類される。事前に完璧な計画をおこなって次に実装・テストと段階を進める、すなわち予測型計画・逐次型実行の開発スタイルの代表例はウォーターフォールモデルである。アジャイルとウォーターフォールでは開発プロセスが全く異なる。 表. 開発パターンの分類計画予測型適応型実行逐次型ウォーターフォール - 反復型段階リリース アジャイル・反復型開発 開発タイプにより完成時期や抱えるリスクが異なる。アジャイルは他のタイプと比較し、完成時期の目処が初期に立たないというリスクがある。これは計画自体が徐々に改善されて初めて意味ある計画となる特性に由来するため、本質的に避けられないリスクである。 表. 開発タイプと特性タイプ完成時期品質リスク予測型計画・逐次型実行 プロジェクト終了時 一定(計画の質次第) 不完全な計画による全体の手戻り・品質不足 予測型計画・反復型実行 機能別段階リリース 一定(計画の質次第) 不完全な計画による機能レベルの手戻り・品質不足 適応型計画・反復型実行 機能別段階リリース 低→中→高 初期段階では完成時期が不明
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