人間社会への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 03:04 UTC 版)
H5N1によってヒトや動物が死亡するケースが出たため、人間社会に与えた影響は非常に大きい。 H5N1のパンデミックに対する研究には数億ドルの予算が費やされている。H5N1の被害によって10億ドル以上の損失があり、被害を抑えるために2億羽以上のトリが殺処分された。 パンデミック対策に個人で備蓄を行う人も出てきた。日本においてもパンデミック対策として、家から数週間出なくても生活できるように個人で食料などを備蓄しておくことが推奨されている。 しかし、H5N1のパンデミックをそれほど重大なことではないと考える意見もある。WHO公衆衛生当局者ロバート・ブラウンは次のように語っている。 これまでの統計と比較して、ヒトにおけるトリインフルエンザの被害は大きな問題にはならない。HIVの感染者は世界中に4000万人存在する。トリインフルエンザの死者より多くの人が、ベトナムでの交通事故で死亡している。しかし、トリインフルエンザによる被害は重要な点である。トリインフルエンザの高い死亡率、感染の広がるスピード、家禽産業に与える影響は極めて大きく、まさに新興感染症である。 ブラウンは、H5N1についてはまだわかっていないことが多くあると語っている。まだ完全に研究が完了したわけではないため、さらなる研究と国際的な連携が必要である。 また、日本の北海道大学喜田宏教授もパンデミックの可能性には否定的である。 過去の3回のパンデミックはすべてブタからヒトへ伝播しており鳥のウイルスがヒトに広がることは、ごく限られたケースでしか起こらない。問題となっている鳥インフルエンザは判っているだけでも61ヶ国に広がっており、4年間に61ヶ国の内のわずか380人の感染者しか出ていないのは、ごく特殊な遺伝子を持ったヒトのみが感染しているとしか考えられない。わずかなヒト-ヒト感染のケースでもすべて親子兄弟間だけであり、遺伝子が異なる夫婦間での感染伝播は起こっていないのがそれを裏づけている。もし鳥インフルエンザがヒトに流行しても、致死率は0.5%を越えることはなく、全身でウイルス増殖が起こるとするのは間違いで、死亡した感染患者の全身からウイルスが検出されるのは呼吸器からあふれたウイルスの破片である。
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