人間社会生物学への批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 23:10 UTC 版)
「エドワード・オズボーン・ウィルソン」の記事における「人間社会生物学への批判」の解説
ウィルソンは彼の社会生物学的視点への激しい批判を経験した。ハーバードでの同僚の幾人か、たとえばリチャード・レウォンティンやスティーヴン・ジェイ・グールドらは彼のアイディアを科学的にだけでなく、道徳的にも政治的にも間違っていると激しく攻撃した。マーシャル・サーリンズは『生物学の利用と悪用』を著して直接彼を批判した。 ウィルソンの社会生物学的アイディアは多くの生物学者からはおおむね好意的に受け入れられたが、人の行動は文化的な基盤しか持たないという思想を好んだリベラル派と保守派の一部を憤慨させた。社会生物学は「氏か育ちか」論争を再燃させ、彼の科学的な視点は人の本性について幅広い論争を引き起こした。彼は、人は文化と遺伝子両方の影響を受けると何度も繰り返し主張し、たとえば社会生物学を出版した直後には社会生物学を悪用しようとする人々へ警告を発した(Willson,1975b)。また、人の振る舞いや本性は遺伝子によって決定されると主張しているという反対者の批判を歪曲だと反論した。ウィルソンの政治的立場は批判者たちと同じく左派的でリベラルだったが、それでも彼は人種差別主義者、女性蔑視者、優生学者、ジェノサイドや社会的不公平を正当化していると告発された 。 最も印象的な出来事は1977年11月に起こった。人種差別に反対する国際協会(The International Committee Against Racism 、この団体はグールドやレウォンティンも所属した左翼的知識人のグループ、「人民のための科学」とも繋がりがあった)がAAASの国際会議で、ウィルソンにコップの水を浴びせ、「ウィルソン、おまえはwetだ!(びしょ濡れだ/完全に間違っている)」と合唱した。 このような批判とこれに対する再反論は、社会学者であるセーゲルストローレがバランスよく詳細に振り返っており、批判者たちの側にも誤解や行き過ぎがあったことがみとめられている。
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