人物と宗教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/24 02:09 UTC 版)
ディランは、よくメッセージソングやプロテストソングの旗手と評される。ジミ・ヘンドリックスはディランに心酔しており、サム・クックは「風に吹かれて」を聴いて、曲が黒人ではなく白人によって書かれたことが信じられなかったと述懐した。しかしながら、このようなことを本人は迷惑に感じており、同世代については「ほとんど共通するものも無いし、知らない」と述べ、自分の詩が勝手に解釈され、運動の象徴として扱われることに辟易していると明かす。自身の関心事は「平凡な家庭を築く」「自分の子供の少年野球と誕生日パーティー」と述べている。 元々ユダヤ人、ユダヤ教徒として出生したが、1970年代末には保守派のビル・グレアムの影響を強く受け、福音派(新興宗教的キリスト教)に改宗(ボーン・アゲイン)し、コンサートでブーイングを浴びた(ジョン・レノンは、ディランのキリスト教を勧める歌詞に反発し、反対の意味のアンサー・ソングを書いている)。ソニー・ミュージックなどによれば、1983年以降はユダヤ教に回帰している。 英セント・アンドルーズ大学や、米プリンストン大学は、彼に名誉博士号を与えている。「現行の音楽をすべて忘れて、ジョン・キーツやメルヴィルを読んだり、ウディ・ガスリー、ロバート・ジョンソンを聴くべし」と後進のアーティストに提言している。 歌詞や自伝における引用・盗用(盗作)が数多く指摘されている。佐賀純一やジャック・ロンドン、アーネスト・ヘミングウェイ、ヘンリー・ティムロッド(英語版)や、旅行ガイドからの引用も突き止められてきた。絵画は映画「パリ、テキサス」「黒い罠」の場面からの盗用が発覚している。さらにエド・クック教授は、ディラン自伝での盗用を発見し、がっかりしたと述べている。ジョニ・ミッチェルは、LAタイムズ紙のインタビューの中で、「ディランは盗作野郎で、名前も声もインチキ、まがいもの。彼と私は昼と夜みたいなもの。彼は彼。私は私。」と厳しく批判している。 2012年10月発売の米誌ローリング・ストーン(フランス語版)のインタビューで米国の人種間関係について問われた際に、「奴隷主や(クー・クラックス・)クランの血が混じっている人がいれば黒人はそれを感じ取る。そういうことは今日にも残っている。ユダヤ人ならナチスの血を感じ取り、セルビア人ならクロアチア人の血を感じるように」などと応じ、クロアチア人に対する憎悪を煽情する発言として在仏クロアチア人協議会から告訴された。2013年11月中旬、これを受けたフランス司法当局により、侮辱行為と憎悪扇動の罪で刑事訴追されたが、2014年4月15日にパリの裁判所により訴えは棄却された。
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